NHK『大奥』、シーズン2で“福士蒼汰、異例の再登場”にファンも大納得の理由
今年1月期に放送され、話題を呼んだNHKドラマ10『大奥』。10月3日、シーズン2の初回となる第11話が放送された。まるで原作コミックから抜け出てきたような生のパワーみなぎる平賀源内を演じる鈴木杏を筆頭に玉置玲央、村雨辰剛、松下奈緒、そして仲間由紀恵ら申し分ないキャストが揃う「医療編」。
その幕開けとして、人の心にもっとも効く“薬”を描き、シーズン1がそうであったように、体の奥に触れる人間ドラマになるに違いないと期待させるスタートを切った。
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原作はよしながふみによる、徳川江戸幕府の時世を男女逆転で描くコミック。先に実写化された、2010年公開の映画『大奥』、さらに2012年の連続ドラマ『大奥~誕生[有功・家光篇]』と映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』のいずれも人気を博したが、2021年の原作完結を経て、本シーズン2では、江戸幕府が終焉を迎える物語ラストまでを「医療編」「幕末編」として初めて実写化する。
8代将軍・徳川吉宗(冨永愛)の薨去(こうきょ)から約20年。吉宗の遺志を継ぎ、赤面疱瘡を撲滅せんとする田沼意次(松下奈緒)の内命を帯びた平賀源内は、長崎・出島で蘭方医・吾作(村雨辰剛)と出会う。
青沼と名を改めた吾作は、大奥入りし、医者を父に持つ黒木(玉置玲央)の補佐のもと、蘭学の講義をすることになる。そして「没日録」を目にするのだった。
森下佳子の脚本には、シーズン1でも幾度も唸らされてきた。当然、映像化するにあたっての脚色がところどころになされているが、いずれも原作を熟知、愛するがゆえの変更であり、原作の言わんとするメッセージをより強く打ち出すための脚色になっている。
今回、“異人の相貌”に慣れぬ大奥の男たちが、青沼とすれ違いざま、あからさまに距離を取り、熱を出した者たちを診ようとした彼に“鬼”と叫んだ。
また、原作では青沼は“混血児”とされているが、本作では“あいのこ”と、差別的なニュアンスのさらに強い言葉が使われるなど(今回もNHKさん、攻めてますね)、彼らの生きる時代と、そこで青沼が負ってきた傷を、短い時間でこちらに感じさせた。
そして、医学・蘭学を「嫌いだ」と断言する黒木のバックボーンが伝わるエピソードをきっちりおさえながら、青沼と黒木、また源内や田沼とのそれぞれのやりとりに、“ありがとう”のキーワードを組み込んだ。
原作の「医療編」も読み進めるうちに、“ありがとう”の言葉は心に沁みてくるが、今回の源内による「その人に、ありがとうって言われたいからな。わたし、ありがとうって言われるのが何より好きさ」に始まるような、直接的なキーワードにはしていない。
だが、ここまではっきりと伝えることによって、偽りない“ありがとう”は、人の心の錠の鍵に、さらには“薬”となることが伝わった。発する側にとっても受ける側にとっても。
男子の数を1/4に減らした奇病、赤面疱瘡を撲滅すべく立ち上がる
人の心の傷を治す“薬”となりうる言葉がキーワードに
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