
整形を繰り返す・アヤナ
――SNSを見ているとキャラクターたちと年齢の近い10~20代の女性はもちろん、老若男女問わず読んでいる印象があります。
をのひなお:そうですね。最初の段階では若い女性をターゲット層にしていたのですが、ありがたいことに幅広く読んでいただけているなと思ってます。コメントを見ると男性や、「60代ですが読んでます」って言ってくださる方もいて、すごく嬉しいですね。

SNSでマネる人も多くいた・ゆあてゃ
――特定のキャラクターの話になってしまうのですが、江美は他のキャラクターよりも少し大人のキャラクターですよね。それは、年上の読者もいるから生まれたのでしょうか?
をの:江美に関しては、実はホスト編のゆあという地雷系の女の子がきっかけで生まれました。ゆあがあまりにも人気になってしまって「憧れています」って言われたり、「憧れて風俗始めました」みたいな意見も見かけて、夢中になってくださるのは大変ありがたいのですが、自ら思いもよらないような道に踏み込んでしまうようなことは、それはちょっと意図していない方向だなと思って。
これは一度「その先」を描かなくてはいけないと思って、生まれたのが江美だったんです。だからといって、目的もなく40代まで生きていたらひどい目に遭うぞっていう意味で描いてるわけでもないので、ああいうラストにしたんです。

父親の死を機にソープランドを辞めて地元に戻った・江美
――「サイコミ」のアプリ内でも常にトップに表示されていた印象です。読者の期待がプレッシャーになったことはありましたか?
をの:最終章に入ってからは「もう終わる」「あとはたたんでいくだけの物語」という意識でした。ただ、ホスト編と配信者編と、菜々美(江美)の話を描いているときは、プレッシャーを感じていました。読者の中には細部まで見てくださっている方も多いので、変なものは描けないし、今まで見ててくれてた方も、「なんかやっぱり連載続いたら面白くなくなっちゃった」ってがっかりさせたくないなって。手を抜けるような仕事ではないので、毎週大変でした。
――読者が共感するキャラクターたちが、作品の魅力の1つだと感じております。それぞれのキャラクターはどうやって作っていったのでしょうか?
をの:女の子に取材することはしないようにしていました。ただ、経験したことがないのでわからない描写があれば、自分でやってみたり、人に話を聞くんですけど、そのキャラの経験とか思考は、誰かに話を聞いてというよりも、今まで生きてきたなかで出会ったいろんな人を交えて描いています。

ホストにハマる大学生・萌
――本作は実写ドラマ化されましたが、実写化されたときはどんなお気持ちでしたか?
をの:単純に嬉しいですよね。ただ、夢の中にいる感覚というか実感がなかったです。映像が世に出たときに「あ、本当に実写化されたんだ」ってやっと思えたというか。実際にキャスティングに関わることはなかったのですが、本当に皆さんぴったりでしたね。素晴らしかったと思います。