「わたし、夫に死んでほしい」憎しみに変わった愛。セックスレスや“こじれた”夫婦を救うプロの処方箋とは
知っているようで知らない夫と妻
好きだから、この人と将来を共にしたいから、年を重ねても一緒にいたいから。人生のパートナーとなるべく結婚したのに、どうして愛する伴侶が悩みの種になってしまうのでしょう。
離婚という選択が悪いのではないのです。でも本書に登場するご夫婦は、愛情が枯渇したわけではないのです。
「夫に借金が発覚」「オンラインゲームに夢中な夫」「不倫をしていた夫」等々、事情を抱えながらも日常生活を平穏な頃に戻そうと努力する妻の叫びに、つい泣けてきてしまいます。
夫婦関係修復か、現状維持か、離婚か。決めるのは本人ですが、「なぜ?」を放置したまま生きていくのはつらいです。
「封印して、我慢して、なかったことにして、ごまかして、問題を遠ざけて歩いていくには、人生の道程は長すぎると思うのです」
安東さんの最後の言葉が、なんとも重く、リアルに刺さります。
<文/森美樹>森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx


