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大ヒットディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』のラストに賛否が集まるワケ

『ミラベルと魔法だらけの家』が日本テレビ『金曜ロードショー』で11月17日よる9時より放送される。
ミラベルと魔法だらけの家 4K(ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社)

ミラベルと魔法だらけの家 4K(ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社)

 本作は2021年11月26日に劇場公開された第94回アカデミー長編アニメーション賞受賞作であり、今回はリクエスト企画により選ばれた4週連続のディズニーアニメ映画の第1弾として放送される。

耳に残る楽曲や個性豊かなキャラクターは魅力的だけど……

 この『ミラベルと魔法だらけの家』の魅力の筆頭はミュージカル『イン・ザ・ハイツ』や『ハミルトン』などでも知られるリン=マニュエル・ミランダによる楽曲。  中でも「We Don’t Talk About Bruno(秘密のブルーノ)」は全米シングルチャート1位を記録し、最高5位だった『アナの雪の女王』の「Let It Go」を超える大ヒット。TikTokでの人気も爆発し、世界的なムーブメントを引き起こしていた。  もちろんアニメのクオリティは世界最高峰。舞台はほぼ一軒家の中にも関わらず、カラフルで楽しい見せ場が続く。  家族それぞれのキャラクターの特徴やデザインも個性豊かで、中でもディズニー作品では珍しい「眼鏡をかけた女性主人公」にはたくさんの歓迎の言葉が寄せられた。  しかし、『ミラベルと魔法だらけの家』にはそうした称賛ポイントがたくさんある一方で、日本での評価はやや賛否両論になっている。  特に結末部分でモヤモヤを抱えてしまう人がいる理由と、「こう考えれば納得できなくもない」根拠を解説していこう。以下は結末を含むネタバレ全開となるので、観賞後に読むことをおすすめする。 ※以下、『ミラベルと魔法だらけの家』の結末を含むネタバレがあります。

「持たざる者」と「持つ者」の苦悩をそれぞれ描く

 主人公であるミラベルが抱えた悩みは「疎外感」という普遍的なものだ。家族はみんな「魔法のギフト」を持っているが、自分にはない。  彼女は「ギフトがなくても、家族と同じで私も特別」と、慕われている町の子どもたちに話している……というよりも「自分に言い聞かせて」いるが、それでも仲良しのいとこのアントニオがギフトを手に入れて家族写真を撮った時には、つらい胸の内を(心の中で)歌う。  それでも、ミラベルは家族を愛しており、家から魔法の力が失われるかもしれないという危機を察知して奔走する。  その過程では、力持ちのルイーサはみんなの期待に応えようとしすぎてプレッシャーを抱えていたり、花を咲かせる力を持つイサベラは完璧な女性であろうと努めているが本当は自由を求めていることもわかっていく。  誰かから頼られる、特別な才能があるのは素晴らしいことだが、それによって苦しむこともある。 「持たざる者」であるミラベルと共に、そうした「持つ者」の苦悩も示している、というわけだ。現実で家族に限らず、誰かに過剰に嫉妬してしまった経験のある人とって、ハッと気付かされる描写だろう。
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「魔法の力が戻らないほうが良かった」と思ってしまう理由
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