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大ヒットディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』のラストに賛否が集まるワケ

別の選択肢があってもよかったかもしれない

 そのように結末は、それはそれで筋の通ったものだとも思うのだが……個人的には、たとえば最後にミラベルがドアノブを取り付けず、家族から離れ、別の場所で自分の個性を活かして生きていく、といった結論のほうが好きだ。  もちろんミラベルが家族を大切にしたい気持ちは尊重したいのだが、それでも自分の安全を省みようとせず家と家族を守ろうとしていたことに危うさも感じてしまうし、今まで通り家族と共に生きる以外の選択肢があっても良かったとも思ってしまうのだ。  また、おじのブルーノにも、もう少しだけでも救いや、家族や町の人たちが深く謝罪をする描写があったほうが納得しやすかったと思う。彼はネガティブな出来事を予見していたがために、不幸を自身のせいにされ、家の壁に身を隠して生きなければならなくなった、ミラベル以上にかわいそうに感じてしまう人物だからだ。  終盤にブルーノは「ミラベルは悪くない!」「僕はどう思われてもいい!」と言うも、反省をしたアブエラに抱きつかれ、「僕、何か大事な展開見逃しちゃってたかな」と返す。これは彼のやさしい性格を示す、半ばメタフィクション的とも言えるセリフとして面白いのだが、ブルーノへの今までの仕打ちに対しては不十分に思えてしまった。

観た人同士で話し合ってみては?

 そんなわけで、やはりモヤモヤは残ってしまう映画であるが、観た人同士で内容を話し合うのは、とても有意義なことでもあると思う。  家族が好きだという人はもちろん、はたまた家族を嫌ってしまった経験がある人の間でも、意見は分かれるだろう。あなたは、『ミラベルと魔法だらけの家』をどう観るだろうか?  また、本作を観た人には、劇場公開時に同時上映されていた短編作品『ツリーから離れて』もおすすめしたい。  こちらは「親が子の身を案じるあまり何もさせようとしない」問題が描かれており、『ミラベルと魔法だらけの家』本編とはそちらと対照的(あるいは似てもいる)結末が用意されている。  こちらは現在配信サービスDisney+(ディズニープラス)で観られるので、ぜひチェックしてほしい。 <文/ヒナタカ>
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF
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