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“枯れたおじさん”と不倫する女性を、カッターで襲った「まさかの人物」。抵抗したら恐ろしい展開に

どちらが本当の意味での「悪女」なのか

 彼女の父は働いていない。父の父、つまり祖父は彼女たちが住んでいる場所からハルキが住むマンションなど、そのあたり一帯の地主でありマンションのオーナーでもあるようだ。つまりは超お金持ち、だから父は働く必要がない。娘を溺愛している両親は、ハルキへの気持ちを察しており、その恋心を励まし焚きつけている。 『泥濘の食卓』 ちふゆのフォーク遣いや食べ方を見ていると、お金はあるが躾もろくにしていない両親が浮き彫りになってくる。わがままで、自分の欲しいものが手に入らないとかんしゃくを起こすのがちふゆなのだ。  ふたりとも大事な人への愛は深いが、順を追って恋を自分のものにしようとしている深愛と、手段を選ばず欲しいものをすぐに手に入れようとするちふゆ。どちらが本当の意味での「悪女」なのかはまだわからない。

好きな男の子のピンチを「ウケる」と笑う怖さ

 ちふゆは、深愛が那須川の待つ車に近づき、親しげに話したあと同乗していくのを目撃する。「不倫……? ウケる。超ピンチじゃん、ハルキん家」と笑う。好きな人のピンチだと思うなら心配するのが普通だろうが、ちふゆはこれをおもしろがっているのだ。ハルキのピンチは自分のチャンスだと思っているのだろう。  ちふゆはその日から、ハルキのマンションを監視しつづける。その結果、週3日、「あの女(深愛のこと)がハルキのマンションから出てくる」ことがわかった。ある日、深愛とハルキが立ち話をしているのを見たちふゆは、深愛をじっと見送るハルキのたたずまいから、彼の「好きな人」は深愛だと直感する。ボロボロと涙をこぼしながらハルキを見つめるちふゆが、とんでもなく怖い。
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ついに対面してしまう、危険な女ふたり
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