大河で、野島伸司作品で、新たなフェーズに突入した溝端淳平

『何曜日に生まれたの』公式サイトより
これまで主演の機会も多く、いまさら語るべくもないほど存在感のある溝端淳平だが、今年は彼にとってターニングポイントになるのではないかと感じる作品への出演が続いた。
まずは野島伸司脚本の『何曜日に生まれたの』(朝日放送)。溝端は何を考えているのかわからないベストセラー作家・公文竜炎を演じた。気難しく笑顔を見せない役は新鮮だったが、次第に明らかになる竜炎の過去と想いに触れるにつれ、改めて溝端の芝居の幅の広さを実感した。そして『大河ドラマ どうする家康』(NHK)では、今川義元の嫡男・氏真を熱演。父に対する劣等感、誰とも分かち合えない孤独を繊細に表現し、自害を試みたときには覚悟を決めた者の美しさを全身から放つ。晩年に再び家康と相まみえた際の老けメイクもさることながら、穏やかに昔を語る表情が忘れられない。脂ののった、と表現されることも多い30代、今後ますますの活躍が楽しみだ。
今回名前を挙げた俳優陣の強みは、主演を務める華やかさと、脇でもキラリと光る存在感、どんな役でも柔軟にこなす技巧を有していることだろう。30代俳優の層は厚い。ドラマや映画への期待は高まるばかりだ。
<文/あまのさき>
あまのさき
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。