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「コスプレ感がヒドい…」酷評されてる実写版『幽☆遊☆白書』を10倍楽しむコツ

掛け値なしに絶賛できるアクションと交通事故シーン

 そんなわけでコスプレ感が足を引っ張っていることが否めない実写ドラマ版『幽☆遊☆白書』だが、突出して優れているのがアクションだ。  特に第2話での「幽助vs剛鬼」のバトルは白眉で、原作とは異なる、車をギミックとしたアイデアも含めてものすごく面白い。  アクション監督はドラマ『HIGH&LOW』シリーズや映画『亜人』などの大内貴仁で、今回も3次元的に「空間」を生かしたアクションは世界レベルと断言できる。そこにダイナミックなカメラワークも加わるため、とてつもない躍動感とケレン味を作り出している。  これらのスピーディーなアクションシーンでは、コスプレに思えた衣装もビビッドな色合いのため、むしろ目で追いやすくなる利点もあったと思えた。  ある意味で、少し現実離れした見た目の者たちが激しいバトルをしているという点で、「戦隊もの」的なイメージで観ればいいのでは? という気持ちも強くなっていった。  さらに、SNSで話題を集めたのが第1話の「交通事故」のシーン。本当に車に轢かれると、車と人はどういう動きをするのか。そのリアリティは半端なものではなく、人によってはトラウマにもなり得るだろう。  この場面に限らず、暴力描写には手加減がなく、バトルにおいて「痛み」を感じさせるのも美点だ。

見た目から好評を博したキャラクターも

 また、主要キャラクターのコスプレ感は不評を買った一方で、好評を博しているサブキャラクターもいる。  個人的な推しは、春海四方が演じる悪役の「垂金権造」。演技も見た目も名前通りの「成金」で憎たらしく、原作と同様に良い意味で嫌いになれることには感動すらあった。  さらに、稲垣吾郎演じる左京も、非人間的なサイコパス感が漂っていてとても良い。表情が乏しくも思えるが、終盤でふっと感じさせる「感情のゆらぎ」は、原作の左京とはまた異なる味わい深さもあった。  幻海師範を演じた梶芽衣子も、ものすごくカッコいいと大好評。梶芽衣子というその人自身の「若い頃の美女」の姿が知られているため、原作の幻海の若かりし頃の姿にもリンクしているという意見もある。  さらに、ビジュアルから絶賛されているのは、清水尋也の鴉(からす)。マスクが実写でも映えるデザインだったということも大きいが、その耽美な魅力が発揮されていて惚れ惚れできるし、原作を再現した「トリートメントはしているか?」という問いかけにもゾクゾクしたし、その後の蔵馬とのバトルも圧巻だ。  そして、ボスキャラの戸愚呂兄弟はもう登場シーンのすべてが面白いと言っても過言ではない。滝藤賢一演じる戸愚呂兄はセリフのひとつひとつが神経を逆撫でするし、綾野剛も原作にあったハードボイルドな戸愚呂弟の魅力を見事に引き出していた。
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原作を全5話に見事に圧縮
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