ヘンテコな最終回でも「見てよかった」と思わせる34歳女優がやっぱりスゴい。“一瞬の表情”に言葉を失った
確かにちょっと変なドラマだったけれど、全編を通じてブレることがない人間模様は見ごたえがあった。
毎週木曜日よる10時から放送されていた『いちばんすきな花』(フジテレビ)最終話が、12月21日に放送された。本作最大の功労者は、やっぱり多部未華子ではなかっただろうか。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作最終話で輝く多部未華子の表情を読み解く。
どんなテレビドラマでも最終話ともなると、何だか卒業式みたいな気分でソワソワしてしまう。間違いなく2023年の最注目ドラマに他ならなかった『いちばんすきな花』の最終話はどうだったか。
フワッと変な感じだったなぁ。それが率直な感想だ。フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した新人ながらデビュー作『silent』(フジテレビ、2022年)で話題をさらい、本作に再度大抜擢された生方美久の脚本術に心から称賛を送りたい。
彼女が繰り出す独特な会話のテンポは、日本映画界の巨匠・小津安二郎の空気感が令和にも生きていることをどこか感じさせた。
いや、もちろん小津映画のリズムとは似て非なるものではあるのだけれど、すごく違和感がありながら心地よいリズムを刻む点では同質な気がする。何よりも、この変とか違和といった感覚が、最終話を際立たせているのだ。
衝撃的なまでに、「うわぁ〜変!」と思わず指を差したくなった場面がある。それは出版社に勤める春木椿(松下洸平)の自宅にて。この家は全話を通じて主要登場人物たちの憩いの場だった。
塾講師の潮ゆくえ(多部未華子)、美容師の深雪夜々(今田美桜)、コンビニバイトのイラストレーター佐藤紅葉(神尾楓珠)の3人は(椿を含めて)全員が全員、世間とのズレや違和感を共有して椿の家に集まってきた。
毎日のように食卓を囲み、まるで家族のような共同体に見えたものの、椿は前の住人である志木美鳥(田中麗奈)に家を売却することを決断。すると引っ越し直前になって、4人以外のメンバーも集合することになり、この展開が変なんてもんじゃない。
最終話は“フワッと変な感じ”だった
どんなテレビドラマでも最終話ともなると、何だか卒業式みたいな気分でソワソワしてしまう。間違いなく2023年の最注目ドラマに他ならなかった『いちばんすきな花』の最終話はどうだったか。
フワッと変な感じだったなぁ。それが率直な感想だ。フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した新人ながらデビュー作『silent』(フジテレビ、2022年)で話題をさらい、本作に再度大抜擢された生方美久の脚本術に心から称賛を送りたい。
彼女が繰り出す独特な会話のテンポは、日本映画界の巨匠・小津安二郎の空気感が令和にも生きていることをどこか感じさせた。
いや、もちろん小津映画のリズムとは似て非なるものではあるのだけれど、すごく違和感がありながら心地よいリズムを刻む点では同質な気がする。何よりも、この変とか違和といった感覚が、最終話を際立たせているのだ。
世間とのズレや違和感を共有してきた4人
衝撃的なまでに、「うわぁ〜変!」と思わず指を差したくなった場面がある。それは出版社に勤める春木椿(松下洸平)の自宅にて。この家は全話を通じて主要登場人物たちの憩いの場だった。
塾講師の潮ゆくえ(多部未華子)、美容師の深雪夜々(今田美桜)、コンビニバイトのイラストレーター佐藤紅葉(神尾楓珠)の3人は(椿を含めて)全員が全員、世間とのズレや違和感を共有して椿の家に集まってきた。
毎日のように食卓を囲み、まるで家族のような共同体に見えたものの、椿は前の住人である志木美鳥(田中麗奈)に家を売却することを決断。すると引っ越し直前になって、4人以外のメンバーも集合することになり、この展開が変なんてもんじゃない。
| | 『いちばんすきな花 シナリオブック 完全版(上)』 「男女の間に、友情は成立しますか?」フジテレビ系木曜10時ドラマに共感の声が続々! SNSで話題沸騰! いちばん「語りたくなるドラマ」のシナリオブック完全版。多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠 主演!『silent』の村瀬健プロデューサー×脚本・生方美久が“クアトロ主演”という新しいスタイルで描く、年齢も性別も過ごした環境も違う4人の友情と愛情の物語。 |
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