ヘンテコな最終回でも「見てよかった」と思わせる34歳女優がやっぱりスゴい。“一瞬の表情”に言葉を失った
見てよかったと思わせる多部未華子
実際のところ、それ以上の意味がある。これを説明したいが故に、筆者は冒頭で小津映画に言及しておいたのだ。俳優の演技について、小津監督は以下のように述べている。
「大事なのは性格だな。性格をつかむことだと思うんだ。性格をつかんだ上で、感情を出すんでなければダメだと思う」(「性格と表情」から引用)
何と含蓄ある演技論だろう。これは即、多部未華子の演技に当てはまり、彼女の演技についてすべてを説明してくれる。そう、あのリビングの横顔、そして鼓太郎と夜道を歩く直後のツーショットで多部が見せた表情は、ゆくえの性格どころか、遺伝子情報までが透けて見えるようだったのだ。
ゆくえの人間性から人生の本質的なものを学び、同時に多部未華子というひとりの俳優のトリセツを得たような、趣きある後味。何ともへんてこなドラマだったことは確かだが、最終話まで見てよかった。そう思わせてくれた多部に大きな拍手を(!)。
<文/加賀谷健>
| | 『いちばんすきな花 シナリオブック 完全版(上)』 「男女の間に、友情は成立しますか?」フジテレビ系木曜10時ドラマに共感の声が続々! SNSで話題沸騰! いちばん「語りたくなるドラマ」のシナリオブック完全版。多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠 主演!『silent』の村瀬健プロデューサー×脚本・生方美久が“クアトロ主演”という新しいスタイルで描く、年齢も性別も過ごした環境も違う4人の友情と愛情の物語。 |
この特集の前回記事











