NHK大河『光る君へ』歴史の苦手な私にも刺さりまくる理由。貴族の“ドロドロ”だけじゃない
いつも年の瀬の頃から話題を集めるNHK大河ドラマ(NHK総合、日曜よる8時~ほか)。今年の『光る君へ』は吉高由里子を主演に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描きます。
日本のテレビドラマは愛してやまないけれど、歴史に対する苦手意識が強い筆者。ここ数年はキャストや脚本に惹かれて観ることも多くなったものの、平安時代は“藤原”ばかり出てきて、下の名前も似たり寄ったりだしそもそも読めないし難しそう――などと思っていました。
しかし1月7日に放送された第1回を観てみたら、40代前後の女性に刺さる要素が満載ではありませんか。第2回以降も大期待できると感じたポイントを紹介します。
※この記事は第1回の重要なネタバレを含みます。
史料があまり残されていない平安時代の、本名すら定かではない“紫式部”を描く本作。オリジナル部分が多く、展開の予想もつきづらい。だからこそ本作の出来は、脚本家・大石静氏の力量に左右されるといっても過言ではありません。
大石氏は、朝ドラ『オードリー』、ドラマ10『セカンドバージン』(ともにNHK総合)、『家売るオンナ』シリーズ(日本テレビ系)、『離婚しようよ』(Netflix/宮藤官九郎氏との共同脚本)をはじめ数多くの名作を生み出しており、放送前から安定感がある印象。実際、第1回「約束の月」から大石氏の展開力に唸らされました。
特に驚かされたのは、ラストで主人公・まひろ(のちの紫式部/落井実結子)の母・ちやは(国仲涼子)が殺されたことです。しかも彼女を刀で刺したのは、まひろの運命の相手となる三郎(のちの藤原道長)の次兄・道兼(玉置玲央)。その後、下級貴族であるまひろの父・為時(岸谷五朗)が忖度し、妻の殺人を隠ぺいしたことも衝撃でした。時代ならではの権威主義の闇を、第1回でしっかりと印象づけたのです。
また、まひろが逃げた鳥を探して三郎と出会う場面は、源氏物語における源氏と若紫との出会いを思い起こさせました。内裏の女官たちがひそひそと噂話をしている場面も同様で、「桐壷」ばりのドロドロとした展開が期待できそうです。
筆者は源氏物語を原作にした大和和紀の漫画『あさきゆめみし』を読んで古典を勉強した世代です。かつて平安時代を舞台にした名作少女漫画や小説の数々に夢中になった40~50代前後の方々は、『光る君へ』と当時の感動を重ね合わせているのではないでしょうか。