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松本人志が笑いのセンスだけで人の優劣を判断した“てん末”。過去には「女は95人アホですね」と放言

「オレの才能はこいつのたかだか100倍か」芸と人格が深く依存

 対女性以外でもこんな発言がありました。 <たとえば、「なんじゃ、こいつ」ぐらいのヤツに比べて、僕の収入が100倍やったとしましょうよ。でも「オレの才能はこいつのたかだか100倍か」と思うんですよ。>(p.107)
『松本人志の怒り 赤版』集英社

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 傲岸不遜(ごうがんふそん)。強烈なプライドの根拠となっているのが、確固たる自己認識なのですね。 <笑いということについて、「誰もやったことのないことをやろうとしている」って、これだけ言ってますよね。>(p.137)  つまり、松本人志の本分は、唯一無二かつ孤高であること。他に何もないのです。それをコントやフリートークなどの芸と、思想や哲学を包み隠さずに語る“私人”としての両面から固めていった。  いわば、芸と人格が深く依存しあうことによって生まれた特異なタレント、それが松本人志だったのです。  自らを特別な存在、スペシャルワンだと語る松本の言葉はさらに続きます。

「俺は人とは違うんや」殺害事件の犯人にシンパシーも

<やっぱりね、「俺は人とは違うんや」というのが、まずあるわけですよね。俺自体、人と違うのに、その俺を助けられる人間っていないと思うんですよ。>(p.134) <お笑いタレントで努力してるヤツいますか。矢面に立ってるヤツ。>(p.24)  他者とは違う、もっと言えば、他者から抜きん出た存在であるとの認識が、個性を持つことへの歪(ゆが)んだ傾倒にあらわれている点は見逃せません。 “自分はゴッホの生まれ変わりなのではないか”と語るところはご愛嬌としても、次の発言には違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。  神戸の小学生殺害事件の報道について、中継先でピースをして映り込むふつうの人たちよりも、犯人にシンパシーを抱く理由をこう語るのです。 <こんなこと言うとあかんかもしれへんけど、犯人の方がまだ好感もてますもん。いや好感もてる言うたらあかんな、あかんけども……、まだ自分もってるだけマシなんかなと思ってしまうんですよ。(中略)でも僕は、自分をもってないということを人以上に恥ずかしいことやと思う人間なんですよ。だから、自分を持っているということだけの物差しで言うと、彼の方が長いですよね。>(p.98)  よく活字になったなと思うぐらい危うい発言です。これも、松本が論理の飛躍を自覚しているのではなく、むしろ自らに課したハードルが呪縛となり、本質を見誤っているのではないかと感じるのです。
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自分の「笑い」を理解できないヤツは「アホ」。だが強者になれなかった
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