下積み時代のバイト漬けを明かした43歳俳優。当時から完成されていた“声の魅力”は最新作でも
スランプぎみの少女漫画家が、宝くじが当たるよりも難しいという検察審査会のメンバーに選出される。
それだけ聞いても面白そうだが、これを玉木宏が演じるんだから。毎週金曜日よる8時から放送されている『ジャンヌの裁き』(テレビ東京)には、恰好の楽しみ方がある。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、まるでヴォイスタグを付けるかのように美声を響かせる玉木宏を解説する。
玉木宏ってほんとにカッコいい。声を聞いただけで、心底グッときてしまう。昔も今も常にダンディな印象で、極め付けが、あの低音ヴォイス。あれはそうだなぁ、どんな人の心も武装解除してしまうだけの力がある。
その力ある声の魅力に取り憑かれた筆頭的な人物(キャラクター)がいる。
玉木がピアノ科ながらカリスマ的な指揮を見せる音大生・千秋真一を演じたドラマ『のだめカンタービレ』(フジテレビ、2006年)に登場するこれまた天才のピアノ科・野田恵(上野樹里)、通称のだめだ。のだめは、とにかく人生のあらゆるベクトルが千秋に向いている。
音大生同士の名演は、玉木の低音と上野のへなへな声が、見事なハモリを生むケミストリーそのものだった。そう、同作以来、ぼくらは、耳に心地よい響きを運んでくれる声の俳優・玉木宏を求めるようになったのだ。
でも彼のキャリアを振り返ったとき、それはそれはびっくりすることがある。玉木がTBSのトークバラエティ『A-Studio+』(2024年1月12日放送回)に出演し、アルバイト時代についてエピソードを披露したのだが、なんと当時は3つのバイトを掛け持ちしていたという。
昼はゴルフ場のレストランや引っ越し業者、夜はコンビニ。オーディションを受ける毎日と並行しながら、着実に出演歴を重ねていた。俳優として一本立ちするのは、2004年頃。
ということはつまり、『のだめカンタービレ』に出演するほんの数年前まではバイト生活の下積み時代を送っていたわけだ。
同作が26歳のとき。音大生役の役柄と実年齢は近いをことを考えると、すでにあの低音ヴォイスの演技が、完成形だったことが驚きではないか。



