Lifestyle

作り笑いのために顔を整形する営業マン…NHKドラマで43歳俳優が見せる狂気から目が離せない

急なタップダンスの“妙に耳に残るリズム”

 神木はもともと、登坂不動産でトップセールスをあげていた凄腕営業マンだった。トップの座に異常なまでにこだわる彼は、ちょっとした拍子で永瀬にその座を奪われたことから、会社を去ることになった。  別に一回くらい。そう思うが、神木にはその一回でも許せない。不動産業界から消えたはずの彼が、登坂不動産と敵対するミネルヴァ不動産社長・鵤聖人(高橋克典)の画策で同社に入社。さっそく、永瀬から顧客を横取りしようとする。  エレベーターの扉が開いたと同時に颯爽と歩き出す。このまま宙を舞ってしまえるくらい、神木の足取りは軽快そのもの。どっこい、ピタリと合わせた足元はいきなりタップダンスのようなステップを踏む。  トップに返り咲こうと悪戦苦闘し、祟られている永瀬の「アツツツツ、アツッ」に対する、「タタッ、タタッ」のステップの一定なリズムが、なぜだか妙に耳に残る。

魔物的なディーン・フジオカ

 ディーン・フジオカが演じるから、なおさら風変わりに映る。ディーンと言えば、まぁとにかく完璧な佇まいのザ・ハンサムなわけだが、どこか狂気を漂わせてもいる。  企画・プロデュース・主演映画『Pure Japanese』(2022年)では、次第に狂気がにじむスタントマン役を怪演。武士道的な正義感はあるが、本人が意図しないところで、自分の暴力が相手を傷つける。あの役は結構真に迫っていて、怖かった。  だから、あまりにも爽やかで非の打ち所がないディーンさんのハニカミを見ると、ついつい勘ぐりたくなる。しかも神木の笑顔、口角と目を整形してまで形作った極めつけの産物なのだ。  神木役もやっぱり狂気に取り憑かれている。でもこれほど甘美な狂気を漂わせてくれるなら、こちらは即時降参、降伏してもいいと思ってしまう。ライヤー永瀬の異名を取った永瀬にその営業スタイルを「悪魔的」と言わしめた。そんな魔物的なディーンをとことん享受できる役柄という恐ろしさ。
次のページ 
山下智久かディーン・フジオカか
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ