
小池徹平の悪魔的な演技も神がかっている。ほんと、あの目は間違いなく小池の真骨頂を集約したようなものだが、血走る眼球は、『ディアボロス/悪魔の扉』(1997年)で最強の悪魔を演じたアル・パチーノに匹敵するのでは?
同作のアル・パチーノは、優秀な弁護士であるキアヌ・リーブスをたぶらかして、世界を牛耳ろうとする。最初は言いなりでどんどん出世するキアヌだが、最終的には反旗を翻す。
それに激怒した悪魔が目を剥く。この血走る狂気と圧倒的な邪気が、本作の小池にも感じられるのだとすると。不倫妻に誘惑の言葉の数々をささやく、最低最悪の不倫男の正体は、悪魔の申し子だったわけか。

うまく撮影に成功したものの、もう身も心もボロボロの渉。そりゃそうだ。なんてったって相手は悪魔とその下僕なのだから。まるで天使のように渉のことをフォローする裕の慰めも効果なし。
ソファの下から這い出て、歩道橋の上でわざわざ崩折れる。さて困った。このメソメソ神父。これじゃあまたすぐに負けてしまう。そこへ颯爽と現れる救世主が、ただならない雰囲気を醸す弁護士・財田トキ子(水野美紀)。
証拠映像を見て、よく撮ってきたと渉をほめ、労う。そして親権獲得のための弁護を引き受けると。心強いなんてもんじゃない。見習い神父に代わって闇を祓う心強いエクソシストみたいな?