おっとりしていてやさしい梅子は、夫と子供ふたりの4人暮らし。梅子は母が大好きで、自分も母のようになりたいと思っていました。
その最愛の母が倒れ、梅子が帰省した時には、もう天に召されていたのです。「わたしがもっと早く着いていたら」という後悔の念に、梅子は苛(さいな)まれ続けます。
不幸の連鎖を避けるために、梅子がのめり込んだのが風水でした。
毎日はさまざまな選択でできていて、人は誰しも、選ばなかった選択肢のほうに重きを置いてしまうもの。もし、違う選択をしたとしても、それが正しい道なのか神様にもわからないかもしれないのです。
でも、私達は選ばなかった自分を責めて、つらさから逃れるように、何かに依存していくのでしょう。
これ以上家族を不幸にしたくない、と梅子は苦悩し、風水に家族の幸せを託そうとします。まるで自身の本心を掻(か)き消すように、風水に金銭を次ぎ込むのです。

写真はイメージ(以下同じ)