――相談された時は、どんな回答をしているのですか?
鳥居:私が知って「いいな」と思った知識は広めていきたいんですけど、「この子はこうだから、絶対に療育したほうがいい」とは言わないようにしてます。これは私自身の考え方なんですが、「療育をしたら良い方向に向かいますよ」みたいな綺麗事だけじゃないと思うんです。
療育がすべてじゃないし、合う合わないもありますから。それこそ「療育に行ったのに治らなかったじゃないか!」となるのは違うし、波長の合う支援者を見つけるまでが大変なんじゃないかな。大人の私でも誰とでも仲良くはなれないので、子どもだったらもっと難しいと思う。
大事なのは、子どもの1番身近にいる人が困っていることに気づいて心を支えてあげることですよね。親が気づけないときは周りにいる人が気づいてあげたり。私は子どもは宝だし、社会のみんなの子どもだと思ってるから、支援者以外の人達にもっと知識を広めて、皆が協力して見守っていけばいいんじゃないかと思っています。
ただ、ときには「療育を受けたほうがいいんじゃないかな」と言うこともあります。
――どんなときに、療育を勧めることがあるのでしょうか?
鳥居:知人のお子さんに吃音が出ていたんですけど、私は「そのうち治るんじゃないかな」と思っていました。でも親御さんが子どもが話すのを待たずに「こういうことが言いたいの?」と言ってしまう人だったんです。
「頑張って」とか「焦らないで」という声かけは子どもを本当に焦らせてしまうし、吃音は焦っているから言葉が出ないわけじゃないので。誤った関わり方をするくらいだったら療育に行ったほうがいいんじゃないかなと思いました。
――子どもを療育に行かせることに抵抗を感じる親御さんもいますよね。
鳥居:子どもが行きたくないと思っているならそれでいいと思うんですけど、「絶対に療育には行かせたくない」というのは親のエゴ。お子さんの表情を見て、困った顔をしているなら療育を検討したほうがいいんじゃないかと思います。