
そんなある日、ついに佳純さんが佐藤さんの問題行動を目撃してしまいました。
「私が空いている時間に1階打席の掃除に行ったら、佐藤さんが人が少ないのを良いことにグリーンに勝手に入って落ちているボールを拾い集めて、自分の打席に持っていき鼻歌混じりに打ち始めたんですよ」
あまりのことに佳純さんはあぜんとしてしまったそう。
「まず、いくら空いているとはいえ他のお客さんが打っているなかグリーンに入るなんて、ボールが当たってしまう可能性があり怪我をするかもしれなくてとても危険です。
それにボールをきちんとお金を払って買わずに、誰かが使い終わったのを拾って打つなんて…。“それは万引きと同じでは?”と思った瞬間に私はもう佐藤さんに注意をしていたんですよ」
すると案の定、佐藤さんは烈火のごとくブチ切れました。
「すごい剣幕(けんまく)で『みんなやっているのに何で俺にだけ注意するんだ!他のやっていたヤツら全員に言ってからにしろ』と怒鳴られて、その想像以上の迫力に私は足が震えて動けなくなってしまったんです」

目を血走らせながら、明らかに正気を失った形相で力任せに怒りをぶちまける人間の持つ、独特の負のオーラみたいなものに佳純さんはただならぬ恐怖を感じたそう。
「私は幸い身近にそんな風に怒り狂うような人がいなかったので免疫がなかったのもありますが、自分めがけてそんな理不尽な怒りを放たれることがこんなにも怖いだなんて初めて知りました」