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朝ドラ『虎に翼』56歳俳優の“妙な胡散臭さ”。スプーン1杯のジャムが示すのは

スプーン一杯のイチゴジャム

『虎に翼』© NHK その意味では上司と部下のような関係とは少し違うかもしれない。それはどこか不思議とマジカル。寅子にとっての司法省は、「ハリー・ポッター」シリーズの見習い魔法使いたちが学ぶホグワーツ魔法魔術学校のように見えなくもない。  久藤の期待と愛情の眼差しは、同シリーズを通じて主人公が必ず懇意になる闇の魔術に対する防衛術の先生のそれとよく似ている。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)では、特訓のあとに必ずチョコレートをくれる先生が登場するが、アメリカへ視察経験がある久藤もまた異国の甘い物を持っている。  第11週第52回から寅子は、家庭裁判所準備室に異動になる。室長・多岐川幸四郎(滝藤賢一)があまりに風変わりでコミュニケーションを取るのに苦戦する。そんなとき、前の上司だった久藤が、日米開戦前に全米のファミリー・コート(家庭裁判所)を回った際、日本の厳しい雰囲気の裁判所とはいかに異なっていたかを説明してくれる。説明しながら、久藤が出してくれるのが、イチゴジャム入りの紅茶だ。  彼がカップにお茶を注ぎ、スプーン一杯のジャムを入れる。ジャムがぽとっとつかるワンショットが丁寧に挿入されている。その甘い一匙が、この「ライアン」という人の愛情深さと比例していることは言うまでもない。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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