
人事課長は、桂場等一郎(松山ケンイチ)だった。甘味処「竹もと」で寅子の母・猪爪はる(石田ゆり子)と一戦交えたことがあるこの人が、採用担当ともなると、そりゃ一筋縄ではいかないだろう。
裁判官として雇ってほしいと頭を下げる寅子だが、等一郎はやっぱり取り合おうとしない。そこへ、ライアン再登場(!)。「取ってあげなよ」と言って、またしてもアシストしてくれる。
寅子と等一郎のやり取りを見て、やけに楽しそうでもある。渋々善処しようとする等一郎だが、さっきからずっと鼻に何かついてる(さつまいもの皮?)。それをさりげなく取ってしまう「ライアン」という人の度量は、どこまで広いんだろうか?

結局、寅子は、久藤のところで事務官として雇われる。取り掛かるのは、新民法の改正案について。日本政府の現状では「生ぬるい」とGHQから差し戻されているのだ。
寅子は、久藤から意見を求められるが、入省以来の彼女はどうも無感情になる「スンッ」状態に陥っている。これまで社会に対して疑問符を浮かべてきた「はて」がうまく発揮出来ない寅子に対して、久藤からは「思ったより謙虚なんだね」と言われる。
寅子を試すような視線の久藤がカメラ目線になる。彼の眼差しは、優秀だと見込んだ者をテストしている。GHQのアルバート・ホーナーにも寅子を「見定め中さ」と言っている。かと言って、久藤の眼差しが温かくないわけではない。
尾野真千子のナレーションが二度繰り返すように、確かに「胡散臭い」けれど、愛のある人であることに間違いない。寅子への眼差しは、そうだな、優秀な教え子への期待と愛情を込めたものだろう。