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朝ドラ『虎に翼』戦災孤児を演じる18歳俳優の“危うげな魅力”に注目集まる。過去作からわかる早熟な才能とは

過去作で共通して演じてきた役柄

『虎に翼』© NHK 和田庵は、鈴木亮平がゲイ男性に扮した力作『エゴイスト』(2023年)で、中学生時代を演じている。同作冒頭で、同級生たちから差別的な発言を浴びせられる瞬間の表情がクローズアップで生々しく捉えられる。  あるいは、『虎に翼』でナレーションを担当する尾野真千子主演の『茜色に焼かれる』(2021年)でもやはり同級生から酷い罵倒を受ける少年を演じている。和田はその都度、役柄を通じて過酷な現実と丁寧に向き合うように感情を動かしているように見える。それが危うげだけれど、力強くもあり、かつ繊細。  同作の監督である石井裕也は、「和製リバー・フェニックス」と評したが、これは納得出来た。『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)でキアヌ・リーブスと共演して、ゲイ男性の苦悩を画面からこぼれてしまうほどの危うげな魅力で演じたリバー・フェニックスと和田は確かに共通する雰囲気があるからだ。  和田にとっては、『虎に翼』が間違いなくブレイク作になるのだろうけれど、過去作で共通して演じてきた役柄が、和田の中で生き続け、次の役へバトンをつなぐ。その渡し方が揺らぐことはない。早熟の才能を感じずにはいられない。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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