寒さに耐えきれなくなった真美さんは「
寒いし、足が痛くなってきたから暖かいところでお茶したいな」とお願いします。
すると亮介さんは「
せっかくこんな異空間に来たんだから、テラス席で風景を楽しむべきだよ」と話を聞いてくれず、吹きっさらしの木枯らしの中で束の間の休憩をし軽食をとると、またアトラクションの行列に並ばされてしまいました。

「亮介さんは最初から一日中外で遊ぶつもりで、厚手のダウンジャケットを着てきたからいいけど、こっちは見た目重視の軽装備。そのうち、足元からの底冷えに耐えられなくて奥歯がガタガタいって止まらなくなってしまって……。
なんでこんな思いまでして、私の意見を全く聞いてくれない身勝手な男と一緒にいなくちゃいけないんだろう? と我慢の限界がきてしまいました。そして『私、もう帰る!』と亮介さんに背を向けて歩きだしたんですよ」
そして真美さんが脇目も振らずに出口のゲートに向かっていると、亮介さんから電話がかかってきたので出てみると……。
「電話口から聞こえてきたのは、さっきのアトラクションの列に並んでいた時に流れていた曲でした。『あ、こいつ、せっかく並んでた行列から離れたくなくて、私を追いかけてこなかったんだな』と分かりました。
さらに『おい、
今までディズニーにサプライズで連れてきた子には感謝しかされたことしかないのに、何なんだよお前の態度! ふざけんなよ』と。わざわざ文句を言うために電話をしてきたので『
お前の方こそあり得ないだろ? そんなこと知らねーよバーカ』と一方的に切ってやりました」
すると不運は重なるもので急に雨が降ってきて、真美さんは濡れながら必死になって駅まで走り、電車で家路についたそう。
「とにかく寒いしお腹は空いてるし、途中下車して何か食べて暖まろうかと思いましたが、とにかくヒールで歩き回ったせいで足が痛くて。ここは帰ってからリラックスしようと我慢したのが悪かったのか……家に着く頃にはすっかり体調を崩していました。そのまま発熱して、寝込んでしまったんですよ」