その後のある日、近所にある通ったことのなかった路地にふと入ってみた冬美さんは、蔦のからまる雰囲気の良い洋食レストランを発見しました。
「私は昔からレトロなお店を食べ歩くのが趣味なんです。
そのレストランはあまりにも自分好みの店構えで、うっとり眺めてしまいました。お店は休憩時間で閉まっていたのですが、『インスタやっています』と書いてあったので見てみると、トップにアルバイト募集のポストが固定されていて。反射的に『あ、これだ!』と思いました」

そして「決まり次第この投稿は消します」という文言を読んで焦った冬美さんは、すぐに応募しました。
「今は履歴書なんて書かずにDMで申し込めるんですね。本当は一度お店で飲食してから応募するのが筋だとは思いますが、そんな風に
もたもたしている間に他の人の採用が決まってしまうかもしれない?! と、悩む間もなく送信してしまいましたね」
ですが、その後で冷静になって考えてみたら「でもこんな可愛らしいお店のしかもホールのバイトなんて、絶対若くて綺麗な子がいいだろうし、
私みたいな飲食店で働いた経験のないおばさんなんて面接すらしてもらえないかも……」と悶々としてしまったそう。
「とにかく自信を失っていたので、どうせ駄目に決まっていると思うことで楽になろうとしていたら……なんと丁寧な返信がきて面接してもらえることになったんですよ」
面接当日。ドキドキしながらお店のドアを開けると、オーナーシェフの女性が笑顔で迎えてくれました。
「オーナーは28歳で、あまりに若くてびっくりしてしまいましたね。長年働いていた30歳のバイトさんが独立して辞めてしまうので、新しいバイトを募集しているとのことでした」
そして冬美さんは未経験にもかかわらずトントン拍子に採用されて、その洋食レストランで働くことになったそう。
「オーナーからの電話で『
冬美さん、ぜひ一緒に働いていただきたいです!』と言ってもらえた時に、自分の居場所を見つけられたような気がしてとても嬉しかったんですよね。それまで邪険にされ続けてきたので」
しかも、
6人のバイト希望の中から1人だけ選ばれたと聞き、そのことも冬美さんの自信となりました。
「せっかく採用してもらえたのだから、このお店の役に立って恩返しできるように頑張ろう」とシンプルな気持ちで頑張れるのがとても精神衛生上いいそうで……。