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260万回再生の動画「福井に来たらいいと思う」で面白さ爆発。“刺される覚悟”で改革を続ける、老舗旅館の若旦那の想い

接客方法やルールが「言葉にしなくても分かっていた」時代

――実家の旅館に戻られてきていかがでしたか?
福井のすごい若旦那|山口高澄  Instagramより

画像:福井のすごい若旦那|山口高澄 Instagramより(以下同じ)

福井のすごい若旦那|山口高澄  Instagramより山口「最初は、かなりしんどかったです。でも、それは当然ですよね。先代から何十年も続いてきた、基盤が既にでき上がっている組織ですから。若者が突然入ってきても、お互いにすぐに馴染むのは難しいと思います。一方で、当時、旅館業自体が過渡期を迎えていました。 さきほどの話にも出てきましたが、それまでのスタイルは、従業員が長時間働くのが普通で、寝食を共にしながらずっと一緒にいるのが当たり前でした。ずっと一緒にいるからこそ、暗黙の了解があったり、ルールや接客に対する認識の統一感があったりしたんですよね。言葉にしなくてもわかるわけです。 批判的な意味ではなくて、それがその時代の良さであり、みんながある意味あいまいな共通認識を持った状態でうまく働けていた時代だったんです」

刺される覚悟で実家の旅館の方向転換をした

――たしかに、ここ十年ほどでどの業界も残業時間や勤務時間など、きっちりするようになってきましたよね。 山口「そうですね。旅館業も残業時間や勤務時間の管理がしっかりと行われるようになり、昔みたいにずっと一緒にいるわけにもいかなくなりました。そのような中で、経営システムを今までと大きく変える必要が出てきたんです。それが僕の役割でした。 当然、突然やってきた若造の僕が、認識のズレや働き方の方向転換を図るのはとても苦労しました。さらに、働き方の方向転換をした上で、旅館のブランド力を高めて利益も上げないといけないわけです。大げさな言い方かもしれないですけど、当時は刺される覚悟で旅館内の方向転換に挑みましたね」 福井のすごい若旦那|山口高澄  Instagramより――グランディア芳泉の紹介動画を見る限り、従業員のみなさんも楽しそうに働いていますよね。 山口「私が会社を辞めてグランディア芳泉に入社して、今年で12年目になります。12年かけて、それまではっきり言語化されていなかった規則やルールが整ってきたというのがあります。モチベーションで乗り切るのではなく、働く上での認識のズレを徹底的に修正してきました。 例えば、調理部や接客部など、それぞれの部門に目標設定があるのですが、それがすごくあいまいでした。調理部の場合、お客様アンケートの料理評価を指標にしていたのですが、どんなにお客様からの評価が良くても、料理の原価が管理できていなければ経営的には回りません。そこで、指標を部門ごとに段階別に設定し直しました」
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暗黙の了解や感覚的な認識をなくすために○○も導入
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