――毎熊さん演じる演技講師・蝶野とのレッスンの中で、受講者はパーソナルな部分、心の内を探っていきます。そしてアウトプットしていく。
毎熊さん自身は、直接役につながらなかったとしても、実生活における個人としてのインプット作業、私生活での経験は、役者が芝居に厚みを持たせるうえでも大事だと感じますか?
毎熊:大事どころか、むしろそちらがメインかなと思います。
こうした演技レッスンのようなトレーニングや、体を動かしたり声を出すレッスンといったアウトプットのための実習ももちろん大事ですが、インプットがないと外には出て行かない。
ひとつ芝居をするにしても、何かを選択するときの判断材料として、過去の自分がインプットしたものがないとできないと思います。
――レッスンとは言わずとも、これまでに毎熊さん自身が出会ってきた先輩にかけてもらった言動で、心に留めておきたいものはありますか?
毎熊:ひとつ挙げるなら、「いいよ、思いっきり来い!」と言ってくれた先輩のことはすごく感謝しています。正直、がむしゃらにぶつかっていくと、「そういうのはやめてくれ」みたいな方もいると思うんです。
自分は役者としてまだ年齢的にも40歳手前という中途半端なところにいます。
これから先、より大きなキャッチャーミットを持っておくためにも、今はスキルも大事だけれど、それよりも心と心で、本気でぶつかる芝居がしたい。だから「心で来い! 大丈夫だよ。思いっきり来い!」と言ってくれる先輩は、本当にかっこいいと思いました。
――たくさんいらっしゃるとは思いますが、どなたか具体的にお名前を挙げられますか?
毎熊:そうですね。内野聖陽さんです。一度ご一緒しただけなのですが、本当にアツい方で、「来い!」と。
1回で決めないといけない緊張感を持っている方だという話を聞くこともありますが、それもとてもいい緊張感です。脚本では描かれていない部分にまで想像を馳せながら、本気で演技をされているのを肌で感じられて、とても刺激を受けましたし、嬉しかったです。