意外にも民放連ドラ初主演、46歳女優のフシギな魅力。初主演映画でも見せていた超人的存在感とは
市川実日子は、ほんとうに不思議な存在感の人だと思う。例えば、彼女の何気ない表情が写るだけで、なぜかハッとするものがある。
毎週日曜日よる10時30分から放送されている『ホットスポット』(日本テレビ)は、市川にとって民放の連続ドラマ初主演。本作での市川は宇宙人おじさん相手に、平然と振る舞える凛々しさがある。もはや宇宙人以上に超人的な存在かもしれない。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、本作の市川実日子を解説する。
バカリズムが好んで脚本作品に登場させる女性キャラクターたちは、ぺちゃくちゃしゃべってばかりいる。仕事の合間でも時間を見つけてぺちゃくちゃ、業務で一度中断されてもすぐに再開してまたぺちゃくちゃ。
そういう人いるよなぁ、そういう会話よくあるよなぁという視聴者の共感を集めるくすくす感が癖になる。最新ドラマ『ホットスポット』もまた第1話を見始めたら、これがもうとまらない。何が描かれているわけでもないのに面白い。
ほんど素の状態でリアクションを繰り返しているかのような女性俳優たちのやり取りが、絶妙な間合いで計算されているからなのか、どうか。ともあれ、バカリズム脚本の女性たちの中でも本作の市川実日子は、一段と素の状態なのに、突出してきらめく存在だと思う。
市川演じる主人公・遠藤清美は、シングルマザーでホテルに勤務している。毎朝規則正しく出勤して、夜勤スタッフからフロント業務を引き継ぐ。午前中いっぱいは、チェックアウト業務で忙しい。
夜勤スタッフのひとりに、高橋孝介(角田晃広)という中年男性がいる。どこにでもいそうなおじさんである。後輩スタッフから少しだけやっかい者扱いされている高橋だが、ある日、清美だけに自分が宇宙人であることを告白する。
フロント業務の合間に激白された清美は、あまり真に受けない。当然である。おじさんの戯言くらいにしか思わない。でもどうやら、ほんとうらしいのである。10円玉を指だけで簡単に折り曲げる特殊能力を見せられた清美は、うっすら信じてみるのだが……。

画像:日本テレビ『ホットスポット』公式サイトより
バカリズム脚本の女性たち
宇宙人であることを告白する中年男性
1
2