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「業界を去ったあと、悲しくてTBSラジオを聴けなかった」元TBSアナの私がTBSラジオをまた聴けるようになったワケ

故郷・札幌に戻し、祖母の部屋のラジオをつけてみると

アンヌ遥香 そんなラジオライフで迎えた、私のある転機。昨年の春。大型犬の愛犬リリーを連れて故郷札幌に生活拠点を戻したときのこと。  帰還してからの最初は、亡くなった祖母の部屋の整理整頓に明け暮れる毎日でした。とにかく足の踏み場もないほどの状態の、倉庫のような部屋を一から片付けていき、何とか寝床を確保するところから。  毎日少しずつ整理をしていく中で、窓辺の棚の上に1台の年代物のCDプレーヤーが残されていることに気が付きました。  気分転換に、実家に眠っているクラシックCDでも流してみようかと思いましたが、残念ながらCD機能はもう使えない様子。  それではとラジオのボタンを押してみると……そこからは明確に、しっかりと周波数が合わせられたラジオ音声が聴こえてきたのでした。  そのラジオ局はHBCラジオ。TBSの道内系列局です。  祖母は晩年、長く入院し、他界。そのことを考えても、このCDプレイヤーはおそらく、少なくとも15年以上は使われることなく放置されていたわけですが、流れてくるHBCラジオの音声は非常にクリア。そして、祖母は常日頃ラジオを聴いていたと思い出したのでした。

故郷に戻り、やっと再開できた

アンヌ遙香 それから毎朝、目が覚めればこの年季の入ったCDプレーヤーでラジオを流す生活。そんな中で、私の中で実は大きな一歩だったのが、系列局であるTBSラジオの音声を聴くことができたということ。  北海道の放送局による自社制作番組の合間で、TBS制作の『森本毅郎・スタンバイ!』が一部流れる時間があるのです。  会社を辞めてから、悲しくて悲しくてなかなか聴くことができなかったTBSラジオ。祖母の御縁に導かれるように、およそ8年ぶりに耳にした森本さんの声は、私が現役時代と変わらず、いぶし銀の魅力があり、そして遠藤泰子さんの優しく落ち着いた声もそのままでした。  悲しくて聴けなかったというエクスキューズがありつつも、私の中では正直、何年もTBSラジオの放送から逃げ続けていたような現実があったわけですが、北海道に帰ってきたことで、やっと、本当に久しぶりにTBSラジオと個人的に再会できたという心境でした。  幅広い番組を耳にすることが非常に大事であると大人になって理解できるようになったので、現在は道内のSTVラジオなども聴くようになりましたし、時折radikoプレミアムを使ってJ-WAVEの別所哲也さんの朝番組を楽しむこともあります。  TBSラジオの番組もよく聴いています。  私にとって生活の中心であり、ライフステージの要所要所に寄り添ってもらっているのがラジオ。  もはや、家族であり、親戚のような存在かもしれません。  私は、ラジオが好きです。 <文/アンヌ遥香>
アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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