12歳で映画デビューの26歳が明かす“理想の姿”「オンオフがなるべくないほうが…」
俳優の中川大志さん(26歳)が、柚木麻子による小説『早稲女、女、男』を原案に映画化した『早乙女カナコの場合は』に出演しました。橋本愛さん演じる主人公・早乙女カナコと出会う交際相手で、留年を繰り返しながら演劇サークルで脚本家を志す長津田啓士役を演じています。
中川さんは、2010年の伝記映画『半次郎』でスクリーンデビュー。以降、映画やドラマ、舞台と多方面で活躍中ですが、「オンオフがない状態が理想に近い」と言います。中川さんが目指す俳優の理想形とは。そして来たる30代、40代について想うことなどお話を聞きました。
――まず台本を受け取ったとき、どのような感想を抱きましたか?
中川大志(以下、中川):大学の“あるある”が盛りだくさんの原作ということで、いただいた脚本もクセのある登場人物たちによる独特でシュールな世界観、空気感のある作品だなと思いました。その真ん中に長津田啓士というアクの強いキャラクターがいて(笑)。自分自身でも今までにない役柄だったので、面白そうだなという印象でした。
――長津田は脚本家を目指していてなぜかモテるというキャラクターでした。演じてみていかがでしたか?
中川:長津田はとても面倒臭い男で、プライドも高く嫌味っぽい。口を開けば、うんちくばかり言っているような男なんです。でも、彼の弱い部分、もろい部分、臆病な部分、そこを軸にキャラクターを作っていきました。彼のクセの強い部分を強く出そうとするのではなく、ピュアな面が徐々にカナコとお客さんに垣間見えていくことでチャーミングな人間らしさを好きになってもらえたらと、そう思いながら演じていました。
――物語はフェミニズムがベースになっているので、男性側の葛藤もしっかり描かれている点がよかったと橋本愛さんがおっしゃっていました。
中川:映画ではもっと生々しく描くこともできただろうし、一本の映画としてどこを目指すかということは、僕自身も悩みながらやっていたところではあります。ファンタジーになってしまうと、観ている人たちには自分たちの話ではなくて、映画の中のスペシャルな出来事になってしまうんですよね。そうなるとこの作品は成立しないから、観ている人たちの生活と地続きであってほしいという想いはありました。
――主人公のカナコの10年間を描くので、中川さん演じる長津田も長い年月を重ねるわけですが、こういう場合何を大切に演じているのですか?
中川:台本上の情報はごく一部で、その先端しかお客さんは触れないので、そこだけしか作っていないと深みがなくなってしまうんです。台本の情報以上のことをどこまで知っておけるかはいつも考えています。数年前にショートフィルムを監督したことがあり、編集で仕方なくカットしたところもあったのですが、そのときも同じようなことを思いました。
――確かに必要な場面だけを撮っているわけではないですよね。
中川:撮影現場ではたくさん映像を撮っていて、カットしているから残っているシーンに意味があるんですよね。これってもったいないし、贅沢な話ではあるのですが、そこに意味があるんです。それは観ている方たちにも感じ取ってくれるものがあると信じたいです。
今までにない役柄だった
観る人たちの生活と地続きであってほしい

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