
丈夫な体ありきというのが大前提ですが、「無理をしない」メンタルと多趣味、そして自炊生活も生き方のベースになっているのだと思います。つましい食卓ではありますが、野菜を中心とした献立は彩り豊か。
2週間に1回は次男親子が訪ねてくるので、その日はから揚げやカレー、親子丼に手巻き寿司など、ボリュームのあるものを作ってふるまいます。
「育ち盛りに味わったひもじさが、食事を何より大事にする原点」
この言葉は、私達の胸にも重くのしかかるのではないでしょうか。
多良美智子さんの戦時下の暮らしには到底かないませんが、物価高騰に不景気、私達も今一度、健やかに生きているという普通の日々を、そのありがたみを、多良さんとともに味わうべきなのです。
巻末には、60代ブロガー・ショコラさんとの対談が付いている本書。ページをめくるたびに、心がゆるゆるとほどけていきますよ。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx