“自分に落ち度がある”といわれるのが怖くて誰にも相談できなかった
「そういう生活が続いて、いつの間にか学校に行けなくなってしまって。でも痴漢のことは親にも、先生にも、友達にも、恥ずかしくて相談できずにいました。
痴漢されることは、私に何か原因があると思われるんじゃないか、とか。いやらしい子だと思われるんじゃないか、とか。そういうことを凄く考えてしまったんですね。その結果、周りと溝が深まってしまって、気持ち的に孤立した状態になりました」

結局、A子さんはそのまま退学をしてしまいました。その後、彼女は通信制の高校に通い始め、卒業後は製菓の専門学校へと入学。今はパティシエとして働いているそうです。
これは家に引きこもっていた頃にお菓子を趣味で作るようになったことがきっかけだとか。
「目標ができたことで、ちょっとずつ周りに話をするようになって『痴漢が嫌だった。電車が怖い』とようやく打ち明けられました。
電車に乗らなくても通学できるように協力してくれた、家族からの支えは特に心強かったです。今はもう、電車にも平気で乗れていますよ」
最後にA子さんは、今の自分の生活も仕事も満足しているけれど、あの時に人生を狂わせた痴漢のことは絶対に許せないと強い口調で語りました。
「痴漢は犯罪である」このことがもっと早くから世の中に強く周知されていれば、A子さんはきちんと周りに相談もでき、孤独を深めることは無かったのかもしれません。
あらためて痴漢に対し怒りが沸くとともに、A子さんが生き生きと楽しそうに働いている現在の姿を喜ばしく思った次第です。
<文/もちづき千代子 イラスト/ただりえこ>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama