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夫の死を願う妻、女郎屋の女将…「43歳の安達祐実」が“ゾーンに入っている”と言えるワケ

 安達祐実、相武紗季、磯山さやかトリプル主演で、毎週月曜日よる11時台から放送されているドラマ『夫よ、死んでくれないか』(テレビ東京系)で、主人公・甲本麻矢を演じる安達祐実が、ゾーンに入っている気がする。
 3組の夫婦それぞれの妻たちが、夫に対する激しい不満を募らせる。特に麻矢役は、安達が第1話に特別出演した『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』(テレビ東京系で毎週金曜日深夜に放送)との作品間の連動で狂気が補強されている。  本作の安達祐実が醸す狂気のゾーンとは!? 俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が解説する。

何かをたくらむ口元……

『夫よ、死んでくれないか』第1話冒頭場面、教会で愛を誓う新郎新婦にカメラがゆっくり、じりじり前進する。かなり引きの位置から寄る動きは、なぜだか不気味でもある。新郎・甲本光博(竹財輝之助)と新婦・甲本麻矢(安達祐実)が見つめ合う顔がそれぞれ写る。  不気味さの正体がわかる。教会の鐘が鳴り響く中、麻矢の微笑む口元がアップで写る。口角があがっている状態で、下唇だけ下がり、白い歯がむき出して怪しく光る。何かをたくらむ、この口元……。  この夫婦の関係性は、結婚後すぐに冷えきった。光博が先に浮気したとかではない。むしろ麻矢が光博に向き合おうとせず、何となく倦怠期になった。ふたりとも子どもはほしいのに、麻矢はキャリアアップを目指す仕事との兼ね合いを見計らっている。光博は、そんな彼女都合に愛想をつかしてしまった。

愚痴と実行が紙一重

 夫婦生活が破綻しているのは、麻矢だけではない。大学時代の同級生である加賀美璃子(相武紗季)と榊友里香(磯山さやか)もそれぞれ夫たちに対する激しい不満を募らせている。同じ屋根の下で同じ空気を吸うのも息苦しい。  彼女たちは定期的に集まって、飲み会を催す。夫への不満を愚痴るためである。単なる愚痴ではない。憎しみである。いや、ほとんど殺意に近い。夫という存在が邪魔でしかない。そういう思いを共有する彼女たちが揃って本作のタイトルを口にする。  このタイトルは、麻矢たちの切実なる願いである。エスカレートすれば、自分たちの手を汚してでもすぐにその願いを実行に移せる。上述した微笑む口元の二面性は、愚痴と実行が紙一重であることを表している。
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ゾーンに入った安達祐実
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