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性加害疑惑の園子温を“支持する監督ら”が制作した映画に衝撃…「二次加害」「不誠実」と言えるワケ

園子温の性加害疑惑を題材にした映画が制作されていた

 園子温氏自身が起こした裁判で、その性加害は認められたが、逮捕はされていない。だからこそ、映画業界および個々人が「園子温を映画業界に断じて戻したりはしない」と、断固として突きつけることが、重要ではないか。  被害者への二次加害を防ぐためというのはもちろん、権力勾配を利用したハラスメントや性加害が世界的な問題となる今、「性加害を容認する」ことは、その業界のみならず日本社会全体の信用に関わることだからだ。    その上で、園子温氏を支持していた映画制作チーム「TEAMカミナリ」(株式会社カミナリ)が、園子温氏の性加害疑惑を題材にしたモキュメンタリー(ドキュメンタリー風に演出されたフィクション作品)を制作していた問題についても記しておきたい。  同チームは園子温氏の疑惑が報じられた後に公開した作品のエンドクレジットに「スペシャルサンクス」として「園子温」と記載しており、批判の声が上がっていた。  モキュメンタリーのタイトルは『Already Over』(監督/増田有美)で、試写以外で上映された情報はないが、2023年6月20日に予告編がYouTubeで公開されている。  同作は現時点で映画本編を見る手段が見つからず、その段階ですべてを判断するべきではないことは重々承知の上だが、それでも予告編の時点で大きな問題があると指摘せざるを得ない。

予告編の時点で感じる不誠実さ

『Already Over』の映倫の審査ページによると、あらすじは「〈映画監督、園子温が性加害の疑い〉というニュースがネットで拡散された。真相を追うドキュメンタリーを撮ろうと制作会社のディレクターとプロデューサーが関係者の取材を開始するが……。モキュメンタリー。」とある。  その予告編では、2人の男性が歩きつつ園子温氏の性加害の疑惑について「園子温のニュース、見ました?」「ほらほら、これ、園子温、性加害者の疑い」「性加害者って、いわゆる性的な暴行とか被害とか、そういう系の話?」「たぶんそうだと思う。この記事によると、園監督が主演女優にすごい、手を出しているみたいなことが書いてある」などと話していて、その直後に「あれもダメこれもダメ、どれもデタラメ」という挿入歌が流れる。  予告の終盤には園子温氏の妻であり女優の神楽坂恵氏が登場し、女性に対し「ワークショップでは園子温監督から誘われたりとかはなかったですか。あとはセクハラみたいなことがあったりとか」と問う場面があり、最後には「どこまでが本当?」というテロップが4回に分けて段階的に大きく表示される。  これらの表現からは、園子温氏の性加害の疑惑を矮小化している、しかも現実の問題をモキュメンタリーという「フィクション」を用いて否定しているようなニュアンスをどうしても感じてしまう。しかも、タイトルは「Already over(もう終わった)」で、被害者が今も強く園子温氏への怒りを表明している最中で、問題を「過去もの」にするような不誠実さを覚えるのだ。
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「スペシャルサンクス」に園子温の名前も
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