“超有名歌手の父”を持つ若手俳優2人の才能と、意外な共通点「うっとりするくらいに…」
ここ数年、いわゆる“二世俳優”と呼ばれる若手が、空前のラッシュ状態でその才能をきらめかせている。
櫻井海音と宮沢氷魚は、ともに有名な歌手の父をもつ。前者は、国民的ロックバンド「Mr.Children」のボーカル・桜井和寿。後者は、1986年に結成されたロックバンド「THE BOOM」の元ボーカル・宮沢和史。息子たちは、それぞれ俳優として活躍している。
みたいな具体的でキャッチーな話題性は、さして重要ではないのかもしれない。いわゆる二世俳優の枠組みに決して押し込められない櫻井海音と宮沢氷魚の才能は、むしろ極めて抽象的な共通点によって鮮明になると思うからだ。
彼らは俳優なのだから、とにかく具体的な作品例から読み解いてみよう。まず櫻井海音から。筆者が彼の演技を初めて見た作品はたしか、齊藤京子主演ドラマ『泥濘の食卓』(テレビ朝日系、2023年)だったかと思う。
同作は、主人公が妻帯者である上司を慕い、その上司も不倫関係をずるずる続け、上司の息子が主人公に恋い焦がれるという図式を描く。ひとつの不倫が激しい情欲の連鎖となる。タイトルを見てわかるように、ドロドロの不倫劇を極める。
櫻井が演じるのが、上司の息子・那須川ハルキ役である。大人しい性格の高校生に見えて、齊藤演じる主人公を一度好きになると、何度もその名前を口ずさむくらい感情が高ぶる。
松本まりか主演の不倫ドラマ『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系、2024年)で年上の相手に恋する高校生役を演じた野村康太も同様だが、ドロドロした不倫ドラマであればあるほど、若手俳優の演技は、明確な一打のように際立つ。それはなぜか?
代表的才能はいくらでも列挙できるのだが、ここではいずれも歌手の父をもつ、ふたりの若手俳優を紹介する。 櫻井海音と宮沢氷魚。このきらめく若手に類似する演技とは? 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。
抽象的な共通点
ドロドロした不倫ドラマ
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