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NHK『あんぱん』24歳俳優が“どこかホラー的”なワケ。張り付いたような笑顔を浮かべ

神出鬼没な辛島健太郎役

NHK『あんぱん』©︎NHK 何でそんなに注視してくるのか。「あんた京都にもおったろうも」と言う健太郎。嵩のことを前の受験会場でも見かけていたのだ。でもそんなことより、健太郎がいつから嵩を見つめていたかのほうが気にならないか?  もっと言うと、いつからそこにいて、いつから見つめているのか。たしかに健太郎も受験者のひとりなわけだからずっと席に座っていたのだろうが、初登場ワンショット目で笑みを浮かべる高橋文哉にはどこか神出鬼没感がある。  これまた錯覚なの? いやあながち間違いではないらしい。さらに合格発表の場面を見てみる(第5週第25回)。嵩が校門を入ってすぐ健太郎が「また会ったやん」と声をかけてくる。動きとしては前のめりになった高橋が画面上手からいきなりフレームインしてくる。この動きにも感じる。明らかに神出鬼没な彼はいったい、どこからきたのか?

さわやかで甘いロマンティックな高橋文哉

NHK『あんぱん』©︎NHK 嵩は健太郎のことを「健ちゃん」と愛称で呼んで歓待する。でも健太郎という人の動き方を見る限り、わりとホラー(?)的といっては言い過ぎか。健太郎役をもし高橋以外の俳優が演じていたらかなりホラーだったと思う。  だから高橋が演じるこの健太郎役はひとまずスウィートホラー、あるいはロマンティックホラー的キャラクターくらいに捉えておきたい。どこかホラー的ではあるが、スウィートでロマンティックでキュートな存在であることはまず間違いないからだ。  第7週第31回では、夏休みで高知に帰省する嵩に健太郎がついてくる。実は嵩とのぶはケンカ中でその仲裁として健太郎が一役買ってでる。第32回、浜辺で嵩とのぶがやっと口をきいたあと、健太郎がぽろんぽろんギターを戯れ弾く。あぁ、こういう優しげでスウィートな描写こそ朝ドラ的。  この場面ではのぶの妹・朝田メイコ(原菜乃華)が健太郎に恋心を抱く瞬間が描かれるのだが、カメラが上手方向へフォローした原と高橋が並んで歩くツーショットがいい。『からかい上手の高木さん』でも高橋が永野芽郁と海辺を歩くツーショットがある。どちらもやわらかな片思いを寄せられる役柄を高橋が演じる。さわやかで甘いロマンティックな高橋文哉をひたすら愛でていたい。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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