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37歳で想定外に妊娠した私、病院で「まるで幼い子どものように」扱われ困惑。そのワケは

突然、パニック発作に

 尿検査、血圧測定、体重測定を終えて広めの待合室で待っていたところ、番号を呼ばれて診察室の前の椅子に移動した。しかし、20分ほど待ってもなかなか名前を呼ばれない。加えて、妊婦健診受診票に名前を書いていなかったため、待っている間に全部記入するよう言われて書きながら待っていた。  記入していると、突然息が苦しくなり目眩がし始めた。パニック発作が起こってしまったのだ。ここしばらく発作が起こっていなかったのでもうパニック障害は寛解に近いと思っていたがやはり治ってはいなかった。遅刻、忘れ物、初めての場所で緊張しているという3つの要素が起因となって発作が起こってしまったようだ。  マスクをつけているので息を吸い込もうとするたびにマスクごと吸い込んで酸素を吸い込めない。診察室の前には「診察中はマスクを外さないでください」と書いてある。診察中ではないがこの病院内にマスクを外している人などいないので、こっそりマスクをずらして呼吸を整えられるようにした。  数分後、発作は治まった。汗だくだ。無事、助成券に名前を全部記入したところでとようやく診察室に呼ばれた。

助産師さんから“幼い子ども”のように扱われ困惑

ワンピースは母が38年前に着ていたマタニティウェア

ワンピースは母が38年前に着ていたマタニティウェア

 診察でお腹の子は男の子だと判明した。前の病院では胎児の股の部分がなかなか見えず「おそらく女の子でしょう」と言われていたが、今回ははっきりとエコーに男の子のシンボルが映り込んでいた。既に女の子の名前を考えていたので男の子の名前を考え直さないといけない。  診察の後は助産師さんとの面談だった。そこで、保健師さんとの面談をもう一度再現したかのように親や夫からのサポートの有無について聞かれた。また、診察時に精神科にかかっていることや今飲んでいる薬もお薬手帳を見せながら医師に伝えたので、助産師さんにも発達障害や二次障害があることも説明した。  2回目の健診の日。今度は診察中にパニック発作が起こり、助産師さんが「ここで少し休みましょう」と、狭い面談室の簡易ベッドに横にならせてくれた。そこで横になりながら面談をしたのだが、私が「正産期」という言葉と意味を知らなかったからなのだろうか。  まるで幼い子どもに説明するような丁寧すぎる話し方で面談を進められ、戸惑いを覚えた。正産期なんていう言葉、妊娠して初めて知る人のほうが多いのではなかろうか……。「大人の発達障害」への誤解がにじんでいるように感じられた。  助産師さんは私の障害について保健師さんと連携を取ってくれるとのことだった。しかし、連携を取ってくれるといえど、発達障害の特性や特性に合わせてどんなサポートをしてくれるのかどうかは不安が残る。  発達障害の特性は100人いれば100通りで、その人に合ったそれぞれのサポートの仕方がある。私の場合、不注意が多く短期記憶の苦手なADHDと数字や計算が苦手な算数LDだ。なので、具体的には育児で発生するさまざまな確認作業のサポート、数字や計算を扱う際は代わりにやってもらうといったサポートが必要だ。  現場スタッフ一人ひとりの「大人の発達障害」への理解が深まっていないことを実感した出来事であった。産後も授乳中はADHDの薬を飲めないので、薬ナシでも日常生活をスムーズに送れるよう工夫をしないといけないし、必要なサポートをもっと具体的に保健師さんに伝えていこうと思う。 <文/姫野桂>
姫野桂
フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei
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