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大人気子ども番組キャラの“声”までこなす45歳俳優の凄まじい表現力。『情熱大陸』で見せた横顔が物語るのは

 音大のピアノ科で学び、カリスマ的才能を発揮する指揮者役を玉木宏が演じた『のだめカンタービレ』(フジテレビ系、2006年)が、20年近く前のテレビドラマ作品だなんて。
玉木宏

n.o.s. productor co.,ltd.リリースより

 同作を出世作とした玉木が、時を経て出演する『情熱大陸』(2025年6月1日放送回)を見て、感慨深くなった視聴者は多いはず。現在45歳。クールな声の魅力は変わらないが、年齢に裏打ちされ、醸す渋さがさらに魅力的に写る。  男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、『情熱大陸』玉木宏出演回を解説する。

玉木宏の印象的な横顔

 全編(CM込み)30分という決して長くはない番組尺の構成上、『情熱大陸』玉木宏出演回では、玉木のふたつの印象的な横顔で大分している。ひとつは番組冒頭、もうひとつは番組中盤に位置する。  いずれも玉木宏という俳優の、今の生き方そのものがにじみ出るような横顔だった。順を追って見てみよう。まず冒頭から。2025年に開催した写真展『Roots』用に、玉木の祖父が生まれ育った隠岐諸島の飾らない風景にカメラを向ける。ファインダーをのぞき、被写体の動きを捉え、今まさにシャッターを切ろうとする、その横顔。番組冒頭場面としては申し分ない絵の力で、玉木は視聴者をぐんぐん魅了する。  もうひとつ番組中盤に配置された横顔は、2023年に世界大会にも出場したブラジリアン柔術に取り組む表情。都内の道場で指導もする玉木にカメラが向けられる。ローアングルで捉える横顔から熱い息づかいを静かに感じる。

ワンカットが強く物語る

のだめカンタービレ

「のだめカンタービレ DVD BOX」アミューズソフトエンタテインメント

 番組として放送される映像というのは、編集段階でさまざまに素材を入れ替えてはつなげてという作業を繰り返す。最初に想定された構成はガイドラインに過ぎず、実際の素材をつないでみないことにはわからないところがあるからだ。  上述したひとつ目の横顔もたぶん、あまたの映像素材からそのワンショットを冒頭にもってくることで、「これだ!」と映像ピースがはまったはず。そうやって選び抜かれているから、たかだかワンカットの横顔が強く効果的に物語る。  実際、この横顔を導入として、オーバーラップするのは、玉木の過去である。番組ナレーションが導く。2006年に放送されるや、カリスマ指揮者役を演じた玉木をスターダムに押し上げた『のだめカンタービレ』。強く物語る横顔から過去作へつながる必然的な美しさ(!)。
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体当たり仕事もやっていた22歳
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