加奈子さんはなんとか鍵を開けようと、手が痛くなるほど力を入れて開錠を試みましたが、焦りと真夏の暑さで汗だくになり、消耗する一方でした。

「泣きながら『誰か助けて!』とできる限りの大きな声を出したんですが、叫んでも叫んでも外はシーンとしていて。
このままスマホの充電も切れて、誰にも見つけてもらえなかったらどうしよう? と考えると足が震えてきて、もう立っていられなかったです」
するとその時「加奈子? いるの?」と悟史さんの声がしました。
「やっと私を探しにきてくれたんだ! と嬉しくなり『悟史! 閉じ込められちゃったの! 開けて!』と助けを求めたんですが、
なぜか何度叫んでも悟史にはまるで聞こえていないようなんです。
『いないの? どこ?』と声がどんどん遠のいていってしまい……これは普通じゃないぞと全身鳥肌が立ちゾクゾクが止まらなくて」
ドアの上の部分は空いているし、ドア越しにこんな大声を出しているのに聞こえないなんてどう考えてもあり得ないことでした。加奈子さんは「もしかしてこれは霊現象的な何かかも?」と恐怖でパニック状態になり、
たまらずドアに体当たりしました。
するとその物音で「え、やっぱり加奈子いるの?」と悟史さんがようやく気がついてくれたそう。
「やっと悟史と話をすることができ、改めて鍵を触ってみたらさっきまであんなに固くてどうやっても動かなかったのに、スッと簡単に開いて拍子抜けしましたね」