「ですがデートの前の晩、ほとんど眠れなかったんですよね。毎年そうなんですが、夏の暑くなり始めってエアコンをつけっぱなしの状態にまだ慣れていなくて、寒くて目が覚めてしまったり、無意識のうちにエアコンを消して暑くて起きてしまったりと、熟睡できないことが多いんですよ」

その日はかなり日差しが強く、寝不足の最悪なコンディションで炎天下を歩いた美鈴さんは、
真輔さんとの初デート中に体調を崩してしまいます。
ふらつく中で、美鈴さんは元彼の健太さんのことをつい思い出してしまいました。
「健太は私が出先で体調を崩すと『
あ〜もう今日一日が台無しだ。なんでよりにもよって今そんな風になるわけ? 分かった、俺への嫌がらせだろ?』とものすごく不機嫌になり私を責めて……。その時の感覚が蘇り、私はパニック発作みたいになってしまい、動悸とめまいでその場に座り込んでしまったんですよ」
ですが初対面の真輔さんに迷惑をかけてしまうし、面倒をかけるわけにはいかないので、無理して美鈴さんが立ちあがろうとすると……。
「『
大丈夫?! とりあえずここに入って休もう』と真輔さんが私を抱え上げて、テキパキと近くにあったカラオケ店に連れて行ってくれたんですよね」

そして美鈴さんの体調が落ち着くと「
暑い中を連れ出してしまったせいかな、ごめんね。一緒に病院に行こうか? それともしばらくこのまま休んでいたい?」と、真輔さんは心配しながら優しく声をかけてくれたそう。
「真輔さんのお陰で安心感に包まれながら、涼しくて人目のないボックス内でゆっくり寝そべって休むことができて、とても助かったんですよ」
飲み物やブランケットを用意するなどごく自然に介抱してくれる真輔さんに、美鈴さんは感動してしまいました。