孤立しがちな母子家庭に“シェアハウス生活”はぴったり
そんな生活の中で、凪さんが助けられたのは「女性専用シェアハウス」。
凪さんはお子さんが高学年になるまで、家族でシェアハウスで暮らしていたそうです。テレビで知ったシェアハウスの存在に興味を持ち、実際に住んでみると、経済的なメリット以上に大きな気づきがありました。

「
広い共用のダイニングキッチンがあって、誰かが食事しているのを見るのも好きでした。人の目があるからだらけないし、入居者のみなさんの推し活や仕事の話を聞けるのが楽しかった」
若い独身女性が多く住むその空間では、誰かと会話を交わし、日常を分かち合うことができました。孤立しがちな母子家庭の生活にとって、そのつながりは何よりも大きな支えでした。
現在、“推し活”が趣味だという凪さんですが、当初は推し活に対して冷ややかな目で見ていたそうです。「無駄遣い」「贅沢」といったイメージが先行し、自分とは無縁の世界だと感じていたのです。
しかしある日、お子さんに誘われて観に行った映画『東京リベンジャーズ』で、ドラケン(龍宮寺堅)役の山田裕貴さんに惹かれていきました。
最初はグッズの購入にも抵抗があり、「
このお金で子どもの服や食べ物を買った方がいいのでは」と迷います。ですが、思い切って手にしたグッズを眺めるうちに、
何度でも楽しめる“コスパの良さ”に気づきました。
SNSを通じて、同じ“推し”を愛する仲間もできました。
「推し活でつながった人って、私生活を探ってこないんです。
結婚してるか、子どもがいるか、正社員かどうか、そんなことは関係なくて。子どもつながりや職場のつながりとは違って、マウンティングがなくてすごく楽でした」
ただ、最初からうまくいったわけではなく、動画配信サービスを片っ端から契約してしまったり、SNSで情報を追いすぎてしまい反省した時期もありました。調整を重ねた今では、予算と時間をきちんと決めて、自分のペースで推し活を楽しめるようになったそうです。
「
推しに出会ってから子どもたちから『ママ楽しそう』って言われるようになりました。推しがいることで、子育ての日々も前向きに、幸せに感じられることが増えてきたんです」