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「うちの子だけオムツが外れてない…」周りと比べて苦しみ続けたシングルマザー。救ってくれたのは“思いがけない出会い”だった

 東京で3人の子育てをしているシングルマザーで、『36歳、初めて推しができました。』(文芸社刊)の著者・凪倫子さん(@rinco_run2)。 36歳、初めて推しができました。 同作で昨年、文芸社×毎日新聞主催のエッセイコンテスト「第7回人生十人十色大賞」長編部門で最優秀賞を受賞した彼女。その中には、発達障害と診断された子どもとの生活も描かれ、多くの共感を集めました。  お子さんが発達障害かもしれないと気が付いたきっかけや、子育ての中での気づきについて取材しました。 【前回記事】⇒「お子さまランチは贅沢品」年収200万円以下、“助けて”が言えない3児シンママを救った“全く新しい世界”とは

「うちの子だけオムツなの?」幼稚園で感じた発達の遅れ

 彼女たちの暮らしは、決して平坦な道ではありませんでした。 「『他の子と違うかも』と違和感を覚えたのは、一番上の子どもの幼稚園の入園式。集団に溶け込めず、他の子がパンツな中、オムツが取れていなかったのがわが子だけだったことに、少なからずショックを受けました。  3歳児健診では、他の子が保護者の隣で静かに質問に答える中、わが子は席にじっと座っていることすらままならず、別室に呼ばれて『しばらく様子を見ましょう』と言われました」(凪倫子さん、以下「」内同)
凪倫子さん

『36歳、初めて推しができました。』の著者で、3児のシングルマザーである凪倫子さん

 その後、正式に発達障害だと診断された5歳のころには、同じ年の子どもたちがサッカーを始め、文章を書いている姿と比べて、自分の子どもの状態に落ち込んだといいます。離婚してからは、頼れる家族も近くにいない状況。孤独の中で子育てと向き合う日々が始まりました。

藁にもすがる思いの母親に、忍び寄る“トンデモ論”

 凪さんが元夫に診断のことを伝えたところ、「やっぱりそうだったか」とスムーズに受け止めていたといいます。また、両親も発達障害について自分たちなりに勉強し、理解しようと努めてくれました。特に母親は育児書を読み込んで知識を深め、その書籍を凪さんにも送ってくれたそうです。  一方で、凪さん自身もネットや書籍を通じて情報収集をしていたのですが、そのなかで、ある傾向に陥ります。 「グルテンが発達障害の原因になる」「牛乳がよくない」「抗生物質が発達障害の原因になる」「発達障害の子どもの髪には水銀が出る」といった根拠の乏しい“トンデモ論”に、一時は心を動かされてしまったのです
スマホ

写真はイメージです

「今思えばおかしいって分かります。でも当時は、すがるものが欲しかった。子どもの困りごとを少しでも改善できるかもしれないと、信じたくなるんです」  実際、凪さんには一時期グルテンフリーの食生活を心がけていたこともありましたが、生活の負担が大きく、継続を断念しました。
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収入が減るのを覚悟で、パート勤務に切り替えた
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