NHK『あんぱん』24歳俳優の告白シーンで思い出す“戦争前夜”。二人の背後から追うカメラが
朝ドラは途中退場したかと思ったレギュラー出演者が、忘れた頃に涼しい顔してひょいと再登場する。今田美桜主演の『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)の高橋文哉がまさにそう。
高橋は、今田演じる主人公と夫婦になる柳井嵩(北村匠海)の東京芸術高等学校時代の同級生で、戦後はNHKのディレクターになった辛島健太郎役を演じている。
男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、再登場で画面華やぎ、ピンぼけ画面で浮き立つ本作の高橋文哉を解説する。
今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』第19週第93回で、主人公・柳井のぶの妹、朝田蘭子(河合優実)が、自分たち三人姉妹についてこう言う。
「いつまで思いを秘めちゅうつもりながで。こういうことに関して言うたら、うちの姉妹は三人とも下手っぴやき」。彼女たちは結果的に結ばれるというのに、心を寄せる相手になかなか気持ちを伝えられない。
そういう性格なのだから仕方ないのだが、その分、彼女たちの恋の成就を描くまでにドラマ上の尺がかかる。長女であるのぶが幼なじみの柳井嵩(北村匠海)にプロポーズされたのが第18週第88回。
嵩とは東京芸術高等学校時代の同級生である辛島健太郎(高橋文哉)と一番下の妹・メイコ(原菜乃華)が結ばれるのがこの第93回。
戦後を描く本作の後半部までたっぷり時間がかかった。三人姉妹で一番遅かったメイコにいたっては、第93回までお互いに気持ちの確認すらできていなかった。ただし告白やプロポーズさえ済んでしまえば、結婚まではトントン拍子、スピード婚というのがこの姉妹の面白さだ。
ラジオで耳にして以来、のど自慢にでたくてでたくてしょうがなかったメイコは、第92回で蘭子にくっついて高知から上京した。うまい具合に姉たちと食事する喫茶店で職を得て、のど自慢出場まで夢を膨らませる。
その喫茶店に常連客である嵩が健太郎を連れてやってくる。ずっと好きだった人との再会に気が動転したメイコはもうただ目を丸くして固まってしまう。この再会場面は、戦後に不良品回収を生業にしていた健太郎が慌てて店をたたんで途中退場した第15週第74回以来の再登場だ。
忘れた頃にひょいと再登場して画面は一気に華やぐ。辛島健太郎は本作には必要不可欠な存在なのだが、忘れがたい名場面がいくつもある。メイコとの関係性の端緒になった意味で特筆すべきなのが、グッと遡って第7週第32回。けんかをしたのぶと嵩を仲直りさせるために健太郎が一役買う場面である。
気持ちを伝えられない三人姉妹
再会場面で辛島健太郎が再登場
ラジオで耳にして以来、のど自慢にでたくてでたくてしょうがなかったメイコは、第92回で蘭子にくっついて高知から上京した。うまい具合に姉たちと食事する喫茶店で職を得て、のど自慢出場まで夢を膨らませる。
その喫茶店に常連客である嵩が健太郎を連れてやってくる。ずっと好きだった人との再会に気が動転したメイコはもうただ目を丸くして固まってしまう。この再会場面は、戦後に不良品回収を生業にしていた健太郎が慌てて店をたたんで途中退場した第15週第74回以来の再登場だ。
忘れた頃にひょいと再登場して画面は一気に華やぐ。辛島健太郎は本作には必要不可欠な存在なのだが、忘れがたい名場面がいくつもある。メイコとの関係性の端緒になった意味で特筆すべきなのが、グッと遡って第7週第32回。けんかをしたのぶと嵩を仲直りさせるために健太郎が一役買う場面である。
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