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NHK『あんぱん』28歳国民的ミュージシャンの初登場から続く“存在感”。歌唱シーンでは

 今をときめくMrs.GREEN APPLEのボーカル・大森元貴にとって、『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)は、初の朝ドラ出演作だ。
NHK『あんぱん』©︎NHK

NHK『あんぱん』©︎NHK

 作曲家役を演じる大森の演技が、楽しげに踊り、明るく歌う。本来は歌い手である大森元貴が、歌い手ではない作曲家を演じることでうまれる表現がある。  男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、歌い手ではない作曲家を演じる上でのポイントなどを踏まえ、本作の大森元貴の演技を解説する。

弾みをつけた演技で初登場

NHK『あんぱん』©︎NHK 今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』後半部を見る楽しみといえば、芸術愛あふれる作曲家・いせたくやを演じる大森元貴の登場だろう。満を持しての初登場は、第19週第91回の喫茶店場面。  主人公・柳井のぶ(今田美桜)と夫婦になった柳井嵩(北村匠海)が、公演ポスター制作を担当する劇団座長・大根(青柳翔)と打ち合わせをしている。二人が向き合って座る席の奥、カウンター席に座る後ろ姿の男性がいせたくやだ。  嵩と大根の会話に聞き耳をたて、激しく共感。勢いよくカウンター席に左手をついて思いきり立ち上がる。そのダイナミックな動きは、大森自身、初登場の瞬間を待ちに待っていて「今だ!」とばかりにぶんぶん腕を回して自ら弾みをつけた演技ではなかったか。

演技が踊り、演技が歌う

 嵩たちの会話に割り込む初登場場面に限らず、出演回を重ねるごとに大森の演技はどんどん弾む。弾んで弾んで、音楽に合わせるかのように、演技が楽しげに踊り、演技が明るく歌う。  第65回レコード大賞受賞曲「ケセラセラ」など、リスナーを多幸感でみたす国民的バンドMrs.GREEN APPLEのボーカルとしての才能を余すところなく、このいせたくや役に落とし込んでいる。キャラクターの動作や空気感だけではなく、大森の音楽的才能が具体的に華やぐ場面がある。  第92回、のど自慢に出場しようとするのぶの妹・メイコ(原菜乃華)の練習のため、たくやの伴奏でメイコが「東京ブギウギ」を歌う。大森は撮影現場で実際にピアノ伴奏を披露しているのだが、彼の演技が音楽的に弾み、これはファンには嬉しい場面だった。
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歌い手ではない「作曲家」を演じる上でのポイント
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