NHK『あんぱん』28歳国民的ミュージシャンの初登場から続く“存在感”。歌唱シーンでは
歌い手ではない「作曲家」を演じる上でのポイント
朝ドラ初出演ながら、徐々に音楽的才能を解禁していくことで、大森はすっかりレギュラー出演者として画面に馴染んでいる。同時に彼の身体にも、いせたくやという稀代の作曲家キャラがスッと馴染んでいる感じがある。
いせたくやのモデルになったのは、誰もが知る名曲「見上げてごらん夜の星を」や嵩のモデルである『アンパンマン』の作者・やなせたかしが作詞を担当した「手のひらを太陽に」などを作曲した、作曲家・いずみたくである。
クラシック音楽専門プロダクションに所属する筆者は、作曲家と接する機会が多い。例えば、1995年の「キューピーマヨネーズ」CM曲などを作曲した青島広志。『あんぱん』にも「手嶌治虫」の名前で嵩がライバル視する手塚治虫原作『火の鳥』をオペラ化した。
間近で演奏を見ていると、作者自らが愛を込めて解釈する情感がある。つまり、作曲家の心が表現できるかどうか。歌い手ではない作曲家を演じる上でのポイントだ。
俳優として音楽愛を育むアカペラ場面
1
2


