「なんと、
その箱の中身は指輪じゃなく、歯だったんですよね」
実は数日前に親知らずを抜いていた大樹さん。その歯をもらって帰ってきて、遥香さんに見せるのを楽しみにしていたそう。

画像はイメージです(以下同)
「頬杖をついていたのも、『覚悟を決める』って言っていたのもこのせいか! とガッカリしてしまいました。
とにかく大樹は歯医者が怖くて大嫌いで、何度か私が手を引っ張って無理やり連れて行ったこともありました。だから今回、ちゃんと自分で歯医者に行ったことを自慢したかったみたいなんです」
てっきり指輪を渡されると思い込んでいたのに、根っこの部分がグロテスクな歯をいきなり見せられた遥香さん。そのショックで、
ついに我慢できず泣いてしまいました。
いきなり泣き崩れる遥香さんに驚いた大樹さんは、狼狽(ろうばい)しながら「なに? どうしたの大丈夫? 俺にできることある?」と言ってくれたそう。
「すかさず『
今すぐプロポーズしてほしい……』と答えたら、『えっ?』て顔をされました」
遥香さんは、思わず涙を流すに至った今までの経緯を丁寧に話しました。
「
そしたら、大樹は笑ってプロポーズしてくれたんですよね」
プロポーズされたことでやっと心に余裕のできた遥香さんは、大樹さんの歯を再び手に取ると、その勇気を讃えました。
「大樹はまるで未開の地を冒険してきた体験でも話すように、抜歯の大変さを事細かに聞かせてくれました。
そして『抜くのに30分以上かかって辛かったし、その後もしばらく痛くてたまらなかったけど、
きっと遥香がこうやって褒めてくれるだろうなって想像したら不思議と耐えられたんだよね』と言ってもらえて本当に嬉しかったんですよね」