「翔太が私の耳元で『
会えないけど、おばあちゃんは“いまスーン”だよ』って囁いて。えっ? “います”と“soon”をかけ合わせたの? 今すぐ、そばにいるよってこと? と。なんか意味も英語もおかしいですよね。
でもそのときは、
おばあちゃんが今まさに隣にいてくれているみたいな気がして、温かい気持ちになったんです。それと同時に、“いまスーン”という間抜けな響きに吹き出してしまったんですよ」

初めて翔太さんのダジャレで笑った弥生さん。しかも、落ち込んでいた気持ちを前向きにしてもらえて、少し感動してしまいました。
「翔太のダジャレは面白くないし、早く飽きてやめてくれないかな? と
ずっとイライラしていたんですが、まさかそんなダジャレに救われる日が来るなんて。
そのときに笑えたことでなんだか気持ちを切り替えられて、『おばあちゃんは見えないけど、側にいてくれているはず』と心が若干軽くなったんですよね」
そうして弥生さんは、翔太さんのダジャレに寛容になりました。
「それ以来、2人でおばあちゃんの思い出話をする度に『おばあちゃん、いまスーン?』と翔太に聞かれたら、私が『あ、ちょいレイターだって! いまお団子食べてるから』などとその時々の気分で返しては、おばあちゃんの笑顔を思い浮かべているんですよ」
そのようにして明るくおばあちゃんの話ができるようになったことで、弥生さんの悲しみは癒されていったそう。
「翔太も私がダジャレに乗ってくるようになったことが嬉しいらしく、さらに連発してくるようになってしまいました。『やっぱり寒いしつまらないな』と思うときもあるんですが……
あの“いまスーン”で笑った夜を思い出すと、不思議と許せちゃうんですよね」と微笑む弥生さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop