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教育過熱の街・たまプラーザで見えた“疲れ切った子どもたちの実情”。「居場所」開く女性が明かしたのは

NPOとして運営しない理由

壁一面の本棚には寄贈された本がびっしりと並んでいる

壁一面の本棚には寄贈された本がびっしりと並んでいる

 親との関係に疲れた子どもたちが訪れるなか、『ぷらに』で青柳さんは“極力親とは接触しない”スタンスを心がけている。それは、運営者が親とつながることで、子どもたちがリラックスできないと考えるからだ。 「仮に、私が保護者に対して子どもの様子を報告すれば、それだけ子どもの警戒心は高まってしまいます。『ぷらに』としては、学校や家庭に居心地の悪さを感じるときに、ふらっと友達の家に遊びに来るような雰囲気が理想だと考えています。 よく地域の方からは『大々的に活動を宣伝して欲しい』と言われることもありますが、告知はインスタのみに留めています。事業を広げすぎてしまうと、子どもが居づらくなってしまうし、親御さんが託児施設のように勘違いしてしまうケースもある。親御さんの都合のいい場所になるのは、私の運営方針とはズレがあるんです。 もちろんきっかけとして、親がインスタを見て子どもに紹介するケースは多いですが、最終的には子ども本人の意思で来てほしいとお願いしています。そこから友達を連れてきて、徐々に横のつながりが広がっていくのが自然な流れだと感じています」

ルールは「一番立場が弱い人に合わせること」

青柳さん『ぷらに』で過ごす際も、とりわけ厳しい制約は設けていない。「利用できるのは25歳まで」「本を読んでいる人がいたら静かにする」「便座を汚したら掃除する」など暗黙の決まりはあるものの、あくまでも常識の範囲内だ。周りから過度に干渉されず、くつろげる空間を作ることで、来訪者の安心感を保っている。  この場所の大切なルールの一つに「一番立場が弱い人に合わせて過ごす」というものがある。 「ADHDや自閉症の特性がある子は、人の声や物音に過敏な子が多くいます。そうした子どもが来たときは、その子が安心して過ごせることを重視します。その子が集中して本を読めるように、周りも静かにするようにと伝えています。 ぷらにを運営していて興味深いと感じるのは、子どもたちは同じ場所で過ごす傾向があるんです。行きつけの店でいつも同じ席に座るように、ここを頻繁に訪れる子どもも、部屋の入り口や椅子の下など決まった場所でくつろいでいます。そうしたパーソナルスペースが保たれるような配慮は意識していますね」 本棚
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リストカット痕のある女子中学生のケース
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