つまり、親しみやすいライトな作品の空気感や、彼の目指す楽しい世の中を表現するため、演技は拙くとも画面に映るだけで目を引き、おもしろおかしい印象を与える芸人さんの起用は必然だったと言えます。
『べらぼう』は、時代背景的に
大河ドラマの華と言える合戦シーンが全くと言っていいほどありません。芸人さんを毎回のように起用しているのも、その華を補うための小さな努力の面もあるかもしれません。

画像:大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』オリジナル・サウンドトラック Vol.3(日本コロムビア)
上記で名を上げた芸人さん以外にも、松前道廣役のひょうろくさん、葛飾北斎役のくっきー!さん(野性爆弾)、人相見と観相家役の爆笑問題さん、栃木の豪商・釜屋伊兵衛役・喜兵衛役のU字工事さん、宿屋飯盛役の又吉直樹さん、町人役で数回出演のサルゴリラ、クールポコ、福田麻貴(三時のヒロイン)さん……など。
数々の人気芸人さんが画面を賑わせてくれた『べらぼう』。これからもスポット出演的ながらも、まだまだ芸人さんの出演があると聞きます。
中でも筆者が一押しなのが、
演劇・コントユニット・ダウ90000の園田祥太さん。松平定信に翻弄される白川藩の家臣として、3月の初登場から半年以上にわたりレギュラーで出演していました。
定信の厳しい言葉に対する何とも言えない表情や情けない印象を与える演技は
芸人さんだからこそ表現できる味わいがありました。
オープニングから本編まで、芸人さんの宝探しのような楽しみのある『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺』。物語の展開も見逃せませんが、今後の出演者も毎回見逃せませんね。
<文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦