一方でプライベート面でも世間を賑わせることが多い人物でした。清純派の役が多かったことから、サバサバした性格のギャップも話題に。2007年の主演映画『クローズド・ノート』の初日舞台挨拶では司会者からの質問に不機嫌な顔で「別に」と応じた姿が大きく報じられ、世間からバッシングを受けました。この出来事によって沢尻さんのイメージは急落しました。

画像:株式会社マンダム プレスリリースより
また2009年にはクリエイターの高城剛氏と電撃結婚。22歳という年齢差や高城氏の肩書き「ハイパーメディアクリエイター」も注目を集めました。結婚後は挙式や披露宴が大きく報道されましたが、結婚からわずか1年で離婚危機が報じられるなど、お騒がせな一面も目立ちました。
しかし、2012年の映画『ヘルタースケルター』では全身整形をしたファッションモデル・リリコを体当たりで演じ、再び評価が急上昇。岡崎京子さんの大人気漫画かつ蜷川実花さんが監督をするという話題作でしたが「原作そっくり」「りりこを演じられるのは沢尻エリカしかいない」とまで言われるほどの適役ぶりでした。こうした経歴を辿ると、「プライベートで問題が多いが、日本映画界には欠かせない逸材」と評価されていたことが分かります。
大河ドラマ初出演が決まっていた中での麻薬取締法違反による逮捕や有罪判決は、業界全体に大きな影響を与えました。この出来事は沢尻さんの過去の騒動とは比較にならない規模のスキャンダルでした。当時、沢尻さんは医療施設に入所したことも報じられており、女優復帰も考えていないことを公表していました。ファンにとっては落胆の声が広がる状況だったことでしょう。
そうした中で今回の7年ぶりの映画復帰のニュース。その直前となる10月10日にはスノーウェアブランド「DIG」の広告モデル・アンバサダーに窪塚洋介さんと起用されたことも発表されされました。その際の変わらぬ美貌には驚きの声が多く寄せられ、「一度失敗した人にもチャンスを与えるべき」「39歳とは思えない可愛らしさ」「もっと出演作を見たい」といった意見が目立ちました。

画像:サントリースピリッツ株式会社 プレスリリースより
今回の映画『#拡散』での沢尻さんは、婚約者を医療事故で失った過去を持ち、反ワクチンを掲げる浅岡(成田さん)を追う新聞記者という役どころ。ワクチンと合成麻薬MDMAでは種類こそ違いますが、医療施設にも入って薬物からの更生を経て復活した沢尻さんだからこその説得力を持つ演技ができることは期待できるでしょう。
また2025年も若手俳優の薬物事件が相次いでいました。沢尻さんが今後本格的に女優業に復帰してまた活躍してくれることで業界全体の啓蒙にも繋がるのではないでしょうか。
若い頃のツンツンしたキャラクターには反感を持つ人も少なくはありませんでした。しかし数多くの挫折や人生経験を経て成熟した彼女の演技に期待する声が寄せられていることは事実です。
今後、地上波ドラマや映画で新たな一面を見せてくれる沢尻さんにますます注目が集まりそうです。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中