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「来年もやってほしい」M-1審査員・ミルクボーイ駒場が絶賛されるワケ。王者たくろうの“7年間の停滞”を全肯定した圧巻の“一言”とは

「めちゃめちゃええっすね」に宿る、芸人への深いリスペクト

1224_ミルクボーイ駒場さん③

ミルクボーイ 駒場孝さん(左)内海崇さん(右)
画像:テレビ大阪株式会社 プレスリリースより

今回の初審査に挑んだ駒場さんですが、登場からは少し緊張した様子が見受けられました。それでも審査中はボケたり出場芸人をいじったりして笑いを取るような態度は一切見せず、真摯に漫才を審査する姿勢が視聴者の間で好印象を残しました。 そして何よりも、コメントの的確さに加えて、漫才師へのリスペクトや解説の分かりやすさが際立っていました。 たとえば、得点に伸び悩んだめぞんに対しては「1発目の『逃げろ!』の勝負ワードがめちゃめちゃネタを試して頑張って辿り着いたのがわかったのでめちゃくちゃええと思いました」、真空ジェシカに対しては「自由にやっているけどめちゃくちゃ考えてストイックだとわかるから好印象」と、ネタから見える各コンビのここまでの努力から生まれる笑いを評価していました。 これは2010年にM-1が一時終了した際に「漫才を辞めよう」と思った時期を経験しながらも、その挫折を乗り越え、2019年にM-1チャンピオンとなった駒場さんだからこそ説得力を持って出せるコメントだったでしょう。 さらに、すべての審査コメントで初めに「めちゃめちゃええっすね」としみじみと語る姿勢には、駒場さんの温かさや、人柄、そして決勝進出芸人への深いリスペクトの気持ちが全面に出ており、順位に一喜一憂するコンビは救われたことでしょう。 また、漫才を辞めようと思ったタイミングで「漫才ちゃんとやって欲しい」と声をかけてくれた海原ともこさんと同列で審査員を務めたというのも感動的に映っていました。

優勝者「たくろう」を救った、キャラクターと努力への全肯定

そして、優勝したたくろうについては、2018年に準決勝進出は果たしたものの、それ以降約7年間にわたり3回戦で敗退してきた苦しい時期についても触れつつ、ここまでネタを練り上げた努力を評価しました。 また、「今までの漫才と違ってきむらバンドが変なことを言うから赤木君が挙動不審になる意味があったので言葉も立場も仕上がっていてそれは面白いよなと」「ずっと7年間やっていたからこそ面白いのが出た」とコメント。このコメントに赤木さんが感極まる様子が印象的でした。
さらに、このたくろうの漫才におけるキャラクター解説によって、最終決戦でのたくろうのネタがより視聴者に伝わりやすいものになった点も大きな功績でした。 M-1ではキャラクターがあまりにも強いと、観客が物語に置いてきぼりにされる場合もありますが、今回のたくろうの最終決戦では駒場さんの解説が視聴者にこの人はおかしな状況に巻き込まれてしまったから挙動不審なんだ」という導入を与え、世界観を理解しやすくしたという側面がありました。 「認知度ゼロの漫才師でも2本の面白いネタがあれば優勝できる」という勝利の方程式を、2019年にミルクボーイが示したことで、今年のたくろうが見事に追随したのも非常にドラマティックでした。 来年のM-1グランプリでも駒場さんが審査員を務めるかは不明ですが、漫才師や漫才への愛が溢れる姿勢が世間に再確認されたことは間違いありません。SNS上でも「来年もミルクボーイ駒場に審査員をやってもらいたい」「コメントもわかりやすいし、優しく真面目に審査していてすごくよかった」といったポジティブな意見が多数見られました。 この審査をきっかけとして、2026年にはミルクボーイの漫才を観に劇場へ足を運ぶ人がさらに増える予感です。 <文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
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