
面倒くささはありつつ、うれしくもある
――昨年3月に投稿された「オタク的に古い車両は好きやけど、いざ自分で乗務するとそれはそれで大変」というポストも興味深かったです。
「開かないラッチ」「ゴミクーラー」「カスヒーター」「極小ワイパー(拭き残しで見えない)」「大体どこかしらズレてる方向幕」「音質終わってるマイク&スピーカー」「クセが強すぎるブレーキ(編成によって全然違う)」「出庫からしばらく普通に走ってたのに急に壊れる」などが挙げられていました(笑)。こういう事例に対しては、うれしさも感じつつ面倒くさい気持ちもある?
やまとじ:結構、面倒くさい感情はありますね(笑)。特に、車両ごとにクセが全然違うブレーキを使って何百人ものお客さんを乗せ、安全に走って……というのはかなり気を遣います。
――ただ、「オタク的には古い車両は好きやけど」とも書いてありました。
やまとじ:やっぱり電車マニアなので、古い電車に自分が乗って、自分で操縦して……といううれしさはあります。特に、僕が以前いた鉄道会社は古い車両が多かったんです。子どもの頃、絵本や写真図鑑で見た電車をそのまま自分が運転している喜びはありましたね。
――「あ、本物本物!」という気持ちが湧いてきたと。電車好きから鉄道乗務員になった人ならではの喜びですね。
――鉄道好きから鉄道乗務員になった人は多いと伺いましたが、みなさん「趣味は趣味、仕事は仕事」とメリハリをつけて仕事をしているんでしょうね。
やまとじ:たぶん、そうです。そうであってほしいんですけども。
――現役の鉄道乗務員でありつつ、並行して撮り鉄の活動をしている人はいますか?
やまとじ:結構いますよ。自分の会社の車両を中心に撮る人もいますし、自分の会社のは全然見ずに他社の車両ばかり撮る人もいます。
――逆に言ったら、普段の業務中はそういう気持ちを封印していることになりますね。きちっと仕事をして、公私混同せず休日に活動に集中するという。
やまとじ:そうじゃないと鉄道乗務員を続けていくのは厳しいとは思います。で、やっぱり公私混同しない人が面接を通って鉄道会社に入っていると思います。
――鉄道会社としては自分の会社の電車を好きでいてくれるのはマイナスになるわけないですよね。
やまとじ:そうですね。むしろ、好きになってもらったほうが長くいてくれる可能性が高いので。
――でも、基準としては「日々の業務をちゃんとこなせるか」という能力を見て採用・不採用を決めている?
やまとじ:そうですね。人との関わりがある仕事なので、ある程度コミュニケーションが取れ、趣味と一緒くたにせず、時間通りに来て時間まできっちり働いてくれる人が受かりやすいです。最終的には能力であり、人間性だと思います。
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「鉄オタは採用試験で必ず落とされる」という噂は、大嘘! とはいえ、「好き」の気持ちだけでは鉄道乗務員になれません。能力や一般常識が重視され、公私混同しない人が採用されるようです。まあ、当たり前といえば当たり前の結論ですね……。
電車好きが高じて鉄道会社に就職したいと思っている人は、真正面から就活に挑むべき。そして、趣味と仕事のメリハリがつけられる人材を目指してください!
<取材・文/寺西ジャジューカ>